2020年07月20日

『子どもが「学び合う」オンライン授業!』(西川純・編著)

向日葵0720。 思いがけず“暑い夏の日”になりました。
 予報では“曇り”でしたが,青空で強い日差しがありました。
 この天候に,奇跡のひまわりはるかのひまわり)がやっと開花しました。例年より小ぶりですが,太陽に向かっています。



 連日,ニュースが「感染者の増加…」を伝えています。
 新型コロナ禍は“第2波”に入ったのか,これが“withコロナ時代”ということなのか。いずれにしても,今できるのは,感染予防と健康な暮らしを心がけることです。

 3月のように一斉の休校措置が取られることはなさそうですが,豪雨災害や感染者の発生で“短期の休校”や“登校困難”などの状況が生まれています。
 その時,これまでは「課題を指示して家庭学習」の対応でしたが,最近は「双方向型のオンライン学習」により,学びが継続できているようです。
 とはいえ,「環境が整っていないので…」「準備に時間がかかるので…」「全員ができるのではないから…」と,取り組みをしない学校・自治体も少なくないようです。

 先週,学陽書房から前回の『やってみよう! 小学校はじめてのオンライン授業』に続いて,新刊の『子どもが「学び合う」オンライン授業!』(学陽書房・刊)が届きました。読ませてもらうと“オンライン授業の手引き”といった内容でした。

 編者の西川氏が,はじめにで
○(コロナ禍による混乱で) 私は学力の保証に関してはあまり心配していません。休校中であっても,世の中には学校以外にも学習ツールはあふれています。成績上位の子どもにとっては(略)
 私が心配しているのは,休校期間中,孤立していた子どもたちの心です。(略)
 子どもたちの心を守れるのは,教師の家庭訪問や電話ではありません。友だちとの何気ない会話の積み上げだと思います。
と述べています。この“心を守る”こと,そして“学びを保障する”ことには,「オンライン授業が必要」だと,その提案と取り組みがまとめられています。

 オンライン授業の話題に,「今,必要でない」「本校は関係ない」というリーダー,管理職の方々がみえますが,“危機管理の基本は最悪を想定し,それに備えること”です,「」そして「その次」への準備はです。「できない理由」を考えて言っている余裕はないのです。

 本書では,オンライン授業のツールとしてZOOMを利用しています。3月頃の情報で“思考判断が止まっている”リーダーや管理職には,ZOOMと聞くだけで「危ないから…」と耳が閉じているかもしれませんが,本書のていねいな説明で,ZOOMのような双方向型のツールが,子供達の学びや成長に必要なことに気づくかもしれません。


 第1章「オンライン授業が求められている」で,現状や背景,そして願いを込め“コロナに対応した現実的な対策をしよう”と,多用なオプションを用意することで,子供や保護者が選択することもでき,
 仮に再度休校措置が起こっても「教室での授業」というオプションがなくなるだけで,途切れなく移行することができます。
と,学びの継続ができると述べています。

 第2章から具体的なオンライン学習のようす,そしてZOOMの設定が丁寧に説明されています。第3章で「ZOOMのセキュリティ対策」の項も設けられるなど,「学校・教師のための取扱説明書」として利用できる内容です。


 学校教育のリーダー・管理職の方には,まず第1章と第2章の前半を読んでいただきたい。それで「当地はこのまま…」かもしれませんし,「今できることは何か…」と動きだされるかもしれません。
 さらに第8章で「これから起きること」を,一緒に考えてみませんか。

 オンライン授業のツールとしてZOOMを使っていますが,教育委員会が有料アカウントを持てば1,000人が参加可能で,複数のアカウントを用意すれば,教育委員会主催の“イベント”や“研修”が可能です。規模や移動時間・手段などに苦慮せず,日常的な開催を計画することができます。また,学校・学級を超えて“コミュニケーション”をとることも容易でしょう。


 ICTや機器,ネットの得意な方も苦手な方も,すべての教職員のみなさんにお薦めの一冊です。
 これからの教育を創っていくのは,あなたです。


 備忘録メモ
○ Study With me という動画をご存知でしょうか?(略)この動画をアップした人も,それを視聴している人もやる気がアップするのです。
○ 実践事例 子ども同士の交流をすすめた「みんなに紹介したいもの!」
○ ZOOMの機能の極め付けはブレイクアウトルーム機能です。これによりオンライン授業でもスムーズにグループワークが可能になります。
○(保護者の方へ の項)~をご覧ください。ンライン授業を拒否し,必死に従来の授業にしがみついている学校より遥かによい学習環境を提供しています。
○ポストコロナの教育はどうなるのか?
  コロナ以前にはもう戻れない
  保護者は知ってしまった
  減少する学校数,増大する通学距離
 オンライン授業は今後の学校教育における必須アイテムになります。


   もくじ

はじめに
第1章 オンライン授業が求められている 西川純
第2章 オンライン授業をやってみよう!
第3章 オンライン授業を始めるために~Zoomを使い始めてみよう~
第4章 朝の会をやってみよう!     
第5章 実際のオンライン授業の進め方
第6章 子どもが交流して学べる自習室をつくってみよう!
第7章 『学び合い』での利用法  
第8章 これから起こること 西川純


【関連】
  ◇西川純 (@jun24kawa)(Twitter)
  ◇西川研究室 - 子どもに学ぶ教師の研究室
  ◇西川lab(Facebook)
  ◇株式会社 学陽書房 @gakuyo_syobo(Twitter)
  ◇学陽書房(教育) @gakuyosyobo.kyouiku(Facebook)

  ◇『やってみよう! 小学校はじめてのオンライン授業』(樋口万太郎・堀田龍也・編著)(2020/06/06 集団「Emication」)



同じカテゴリー(読書)の記事画像
人日の節句。 『教員不足──誰が子どもを支えるのか』(佐久間亜紀・著)
「小寒」。 『たべるノヲト。』(松重豊・著)
『モウ半分、クダサイ』(愛川晶・著)
『ホテル・カイザリン』(近藤史恵・著)
『浅草寺子屋よろず暦』(砂原浩太朗・著)
『東京ハイダウェイ』(古内一絵・著)
同じカテゴリー(読書)の記事
 人日の節句。 『教員不足──誰が子どもを支えるのか』(佐久間亜紀・著) (2025-01-07 17:00)
 「小寒」。 『たべるノヲト。』(松重豊・著) (2025-01-05 17:00)
 『モウ半分、クダサイ』(愛川晶・著) (2025-01-03 12:00)
 『ホテル・カイザリン』(近藤史恵・著) (2024-12-30 17:00)
 『浅草寺子屋よろず暦』(砂原浩太朗・著) (2024-12-29 17:00)
 『東京ハイダウェイ』(古内一絵・著) (2024-12-28 17:00)

Posted by ガク爺 at 17:00│Comments(0)読書教育
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。