2024年04月26日

4-9 子供の遊びと植物(5) (作手村誌57)

宮島0426。 『作手村誌』(1982・昭和57年発行)から「第一編 第三章 自然と人間のかかわり - 第一節 子供の遊びにみる自然物」の紹介です。
 標高500mの高原、素朴な風土で、そこで培われた文化そして子供達の遊びは、自然とともにありました。
 そのような子供の遊びから“ふるさとの自然”の記録です。
 今に残るものもありますが、社会活動などの変化により、失われたものも少なくありません。“”と比べ、調べながら読み、“これから”を考える参考にしたいと思います。
 そして、これらの遊びを知る大人には、今の子供達に楽しさを伝えていただきたいものです。
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    第三章 自然と人間のかかわり
     第一節 子供の遊びにみる自然物

  *子供の遊びと植物
(つづき)
〔カラスノエンドウ〕 田んぼのあぜ道や土手などの陽当たりのよい場所に、小さな紅色の花をつけ、他の植物にからみついている蔓性の草で、えんどう豆とよく似た小さな豆をつける。
カラスノエンドウ0426。 ●笛〈豆ザヤ〉=さやの腹のほうを爪で裂き、中のマメを全て取り除き、萼の方を切りとり先の方から吹くと「シビビービー」と面白い音がする。

〔カンゾウ(カブレノハナ・《オ》ダイリグサ・オデイリグサ)〕=初夏になると、赤黄色でニッコウキスゲにも似た花をつけるこの草は、根元の部分を笛にして遊ぶことができ、また若芽は味噌和えなどにして食べると美味しい。(オ)ダイリグサとかオデイリグサと呼ばれているのは、女の子が人形遊びをすることから付けられたものである。また、カブレノハナと呼ばれているのは、梅雨時は草刈の時期であり、草刈の後はよくかぶれる(梅雨かぶれ)。原因を究明してみると、ちょうどこのカンゾウの花が咲いていたことに気付き、かぶれの犯人にされてしまったわけである。カンゾウにとっては非常に迷惑な話である。
 ●人形〈葉〉=カンゾウは生える時から、着物を着込んだように葉を交互に出して伸びてくる。十二単同様、一枚一枚を重ねて作り、坐らせるためには下の葉を切りそろえる。
 ●笛〈葉〉=葉の先をちぎり、折り重なっている方を口にくわえて、息を強く吸うと「ピイヨピイヨ」と高い音がする。他にこの吹き方でショウブでも鳴らすことができる。
カンゾウ0426。

〔イタドリ(イタンドリ・イタンバ)〕雄株・雌株があり若い茎はやわらかく食べられる。
 ●笛〈茎〉=茎をななめに切り、切れ目を入れササの葉をさし、切り口にそってササの葉を切って作る。
 ●その他=ままごと遊びの道具として、ひしゃく・おけ・コップ等が作られた。
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「作手村誌57」〉
 注2)本誌の本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値は、本稿では横書きに改めて表記している。  
タグ :作手村誌57


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2024年04月25日

消滅可能性自治体…。 4-8 子供の遊びと植物(4) (作手村誌57)

桐0425。 10年前、日本創成会議が、896自治体を“消滅可能性と位置付けた”発表を行いました。
 今回、それより少ない744自治体ですが…。
 民間組織「人口戦略会議」は24日、全体の4割に当たる744自治体で人口減少が深刻化し、将来消滅する可能性があるとの推計を発表した。
 今回、1729自治体・地域を大きく4分類し、前回とは異なっています。
 今後、人口減少は進んでいくと思われます。それに抗っていくのか、それに合わせていくのか、どのような政策が示され、社会が動いていくのでしょう。
 いずれにしても、一人一人の行動・変化にかかっています。
 あなたは…



 『作手村誌』(1982・昭和57年発行)から「第一編 第三章 自然と人間のかかわり - 第一節 子供の遊びにみる自然物」の紹介です。
 標高500mの高原、素朴な風土で、そこで培われた文化そして子供達の遊びは、自然とともにありました。
 そのような子供の遊びから“ふるさとの自然”の記録です。
 今に残るものもありますが、社会活動などの変化により、失われたものも少なくありません。“”と比べ、調べながら読み、“これから”を考える参考にしたいと思います。
 そして、これらの遊びを知る大人には、今の子供達に楽しさを伝えていただきたいものです。
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    第三章 自然と人間のかかわり
     第一節 子供の遊びにみる自然物

  *子供の遊びと植物
(つづき)
〔フキ〕(フウキ)、春先に根茎から多数の包葉に包まれた花茎を出す。うす黄色は雄花で、白色は雌花である。これをフキノトウ(フキノハナボウズ・フキコゾウ)と呼び、遊びに使われたのは茎が多い。
 ●お面〈葉〉=目になる部分を手でちぎり、穴を開けて裏を向けてかぶる。強烈なフキの香りが鼻をつく。
 ●ちょうちん〈葉・茎〉=茎を一つに皮を残して、中ごろまで折り分けてつくる。
 ●その他=ひしゃく・コップなどがある。また、野山で大便をした時に紙代わりとしても使われた。

シロツメグサ0425。〔シロツメグサ〕(レンゲ・レンゲソウ・クローバー)=ヨーロッパから入って野生化したもので、この植物ほど子供達に親しまれた植物は他にないだろう。持ちきれないほどに花を摘み、花輪を作る子供達は幸せそのものである。
 ●占い(四つ葉のクローバー〈葉〉=シロツメグサの葉は普通3枚であるが、4枚のものを四つ葉のクローバーと呼び、これを持っていると幸せが訪れるという。
 ●冠・首飾〈花〉=3、4本を芯にして、一本づつずらしながら長く編んでいく。
 ●なわ飛び〈花〉=冠・首飾と同様に編み、4、5m位の長さにしてなわ飛びをする。
スズメノテッポウ0425。
〔スズメノテッポウ(ヒューヒューグサ・ヒョウヒョウグサ・ピィーピィーグサ)〕
=水田や湿地の至る所に群生し、春の耕期には手伝いの子供達が口にくわえて吹く。音色は「ピイー」ともの悲しい感じがする。
 ●笛〈葉〉=花(穂)をぬき取った葉柄をロにくわえて吹く。

〔サウラ〕 春の花の代表といえばさくらである。子供達は枝を析ったりはせず、舞い落ちる花びらを拾い集めたものを遊びに使った。
 ●花輪〈花びら〉=舞い落ちた花びらを一つ一つ丁寧に針と糸で通していく。
 ●やに遊び〈ヤニ〉=桜の木の幹には無臭で透き通ったヤニがある。このヤニには適当な粘りがあり、指の腹でつけたり離したりしていると真白い糸を引くようになってくる。途中で乾いて来ると時々舐めて湿しながら、一方の手の指にからめて行くと次第に指が真白になってくる。それを外すと、ちょうど美しい真綿のようなものができる。だれのが真白で上等であるかなどと比べ合ったりして遊ぶ。また木の葉などにもからめたりした。
 ●笛〈花びら〉=花びらを両手で持ち軽く吹く、あまり強く吹くと破れてしまう。
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「作手村誌57」〉
 注2)本誌の本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値は、本稿では横書きに改めて表記している。  
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2024年04月24日

夜の高速で…。 8-10 教師への“原点” (昭和に生きる)

花0424。 昨夜、高速道路を使って移動しました。久しぶりに夜間の走行で、「あれっ…」「凄い…」と、以前との違い(変化?)を感じることがありました。
 一つは、走行する大型トラックに点くライトのようすです。前方を走るトラックを見て、日中には気づかなかったライトがありました。ほとんどの大型トラックに点くライトですが、点いてない(付いてない?)トラックもあります。
 日中に気づく「Gマークのある、なし」とは関係ないようです。
 この違いは…。

 もう一つは、サービスエリアやパーキングエリアへの進入路で見かけたことです。日中、進入路や本線合流路に立つ“注意看板”を見て、「そんなことしないでしょ」と思っていましたが、その意味が分かりました。
 夜間に何度も走ったわけではありませんが、かつては注意看板もなかったし、この光景も見なかったと思います。
 走行した間のすべてのSA、PAが同じ状況でした。いつからなのでしょう。

 この二つも、「物流の2024年問題」の影響あるいは関係があるのかも…。



 故・渥美利夫氏が還暦の年に著した『昭和に生きる』(1987(昭和62)年刊)からです。
 渥美氏の教育実践、教育論は、“昔の話”ですが、その“”そして“”となるものは、今の教育に活きるものです。これからの教育を創っていくヒントもあると思います。

 この項は、「第四章 ハナノキの下で──教育断想」から構成されています。
 この「少年の日のため息」は、渥美氏の生き方に影響を与えた少年時代のできごとを綴っています。
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    ハナノキの下で──教育断想

    3 少年の日のため息
      ──CK「ブッポウソウ」放送をめぐって
(つづき)
      教師への“原点”
 昭和12(1937)年の初夏、「ブッポーソー」の鳴き声が村を訪れるころだから門谷小学校の子どもたちが、「仏法僧」の授業をしていたころ、鳥博士の黒田博士から鳳来寺村加藤村長のところへ返事が届けられていた。それによると、全体としては訴えをすべて斥けるというものであった。
※昭和12年7月7日、蘆溝橋での一発の銃声から日華事変が始った。政府・軍部は「事変不拡大」の方針を表明したが、戦況はそのタテマエとは正反対に進み、華北一帯から上海にも飛び火して、日本は大陸全土に兵を進めた。
 「自分もコノハズクを飼育して、その声を聞いた」「日本において名のわからない鳥が住んでいるとは思われない」「鳥の命名は、なき声のような無形のものを基準にしない」などと指摘し、国定教科書の件については「文部当局の仕事で、自分たちの関与したところではない」という回答であった。
 加藤村長の主張は、無残にも受け入れてもらえなかったが、誠実に書かれた黒田博士返書には、さすがの文人加藤淳もグウの音もでなかった。それでもといらごつのであったけれど、世の中の流れは、戦時色一色にぬりつぶされて、もうブッポーソーか、コノハズクかという論争の時代ではなくなっていった。
 
 「仏法僧」の教え方に疑問をもった竜介少年は、それがきっかけで、学校の先生を職業に選んだ。後になって考えてみれば、「仏法僧」の授業に失望して疑問をもったことがよかったのかもしれない。この疑問をもったということが、教師としての“原点”となったのである。
 竜介少年は、「仏法僧」が村に波紋を投げてからちょうど10年後の昭和22(1947)年、新しい教師を夢みて教壇に立つ身となった。“生活と遊離しないで、子どもが中心となり、そこから生まれる疑問をだいじにしたい”を信念として教えの道を歩むことになる。
 5年生だったときの残念だった思い出が脳裏に焼きついて離れないままに──。
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「昭和に生きる」〉で
 注2)本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値を横書きに改めて表記した箇所、年号に西暦を追記したところがあります。  


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2024年04月23日

8-9 避けて通った授業 (昭和に生きる)

花0423。 今日は「子ども読書の日」です。
 子どもの読書活動についての関心と理解を深め、積極的に読書活動を行う意欲を高めるために、「子どもの読書活動の推進に関する法律」により定められました。
 保護者のみなさん、どんな本が好きですか。お子さんと、どんな本を読んでいますか。



 故・渥美利夫氏が還暦の年に著した『昭和に生きる』(1987(昭和62)年刊)からです。
 渥美氏の教育実践、教育論は、“昔の話”ですが、その“”そして“”となるものは、今の教育に活きるものです。これからの教育を創っていくヒントもあると思います。

 この項は、「第四章 ハナノキの下で──教育断想」から構成されています。
 この「少年の日のため息」は、渥美氏の生き方に影響を与えた少年時代のできごとを綴っています。
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    ハナノキの下で──教育断想

    3 少年の日のため息
      ──CK「ブッポウソウ」放送をめぐって
(つづき)
      避けて通った授業
 5年国語の教科書にあって「仏法僧」の項目は、28単元中13番目である。それは、ちょうど門谷に鳴き声が下りてくる季節に勉強をすることができる。お国じまんではないけれど、授業でどう先生が教えてくれるのか楽しみだった。先生は鳳来寺村ということを、門谷ということを話してくれるのだろうかと想像すると、竜介少年の胸は期待でふくらんで
くるのだった。
 期待して迎えた「仏法僧」の授業に、竜介少年はすっかり失望してしまった。子どもたちの望んでいた「それは鳳来寺山の仏法僧のことです」ということにふれた説明がないばかりか、それには故意に避けて通るという感じであったからである。
 先生は、必要以上に詳しく教えれば、村びとの反発を招く心配があって、「臭い物にはふたをせよ」の訓えにしたがったのであろうか。教えてくださった先生は、まったく板ばさみの苦しい状態であったのかもしれないと思う。子どもたちに教えるべき教科書には、声の主は「コノハズク」と、はっきり書いてある。ところが村びとの感情は、コノハズクに強い反感をもっている。だからうかつに教えられなかったということだったのかもしれない。いま、教えてくださった先生は、すでに亡くなっていて聞くよしもない。
 かわって昭和12年当時、隣の学年の先生だった菅野静雄は、次のように説明をする。
「「問題の国語教科書が届いて校長先生も担任の先生もたいへん困られて相談をなされたようである。門谷の村人は、鳴く鳥が不細工なあのコノハズクとされて残念がっていたし、なにも知らない学者のごときものがなにをいうのか、という反感の気持ちが強かった」
と、村民感情を説明し、さらに授業のあり方について
「ブッポーソーと鳴くのは、コノハズクではないと、子どもたちに教え、作文も、そのように書かせていた」
と、証言し、さらに語をついで、
「今、ふりかえってみると、教科書の方が正しかったけど、当時の村は、コノハズクを認めない空気が支配的であった」
と、回想される。
 竜介少年と菅野先生の証言とは、根本的にくいちがっている。
 もし、菅野先生の記億にまちがいがなければ、一山村の小さな学校が今よりはるかに権威をもった文部省に“反逆”した教育をしていたこととなる。どちらにしても、国定教科書の「仏法僧」が、仏法僧の里の騒ぎに油をそそいだことだけはたしかなことであった。
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「昭和に生きる」〉で
 注2)本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値を横書きに改めて表記した箇所、年号に西暦を追記したところがあります。  


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2024年04月22日

8-8 加藤村長の対応 (昭和に生きる)

花0422。 故・渥美利夫氏が還暦の年に著した『昭和に生きる』(1987(昭和62)年刊)からです。
 渥美氏の教育実践、教育論は、“昔の話”ですが、その“”そして“”となるものは、今の教育に活きるものです。これからの教育を創っていくヒントもあると思います。

 この項は、「第四章 ハナノキの下で──教育断想」から構成されています。
 この「少年の日のため息」は、渥美氏の生き方に影響を与えた少年時代のできごとを綴っています。
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    ハナノキの下で──教育断想

    3 少年の日のため息
      ──CK「ブッポウソウ」放送をめぐって
(つづき)
      加藤村長の対応
 騒ぎがおこった昭和十年代のはじめ、山々に囲まれたひなびた寒村であった鳳来寺村は青年村長・加藤淳の指揮のもと、新農村建設の槌音が高らかに響いていた。この仏法僧問題が、青年村長であり、文人村長でもあった加藤淳の前に大きく立ちはだかっただけに、加藤は人知れず苦しみ、悩みぬいたのであった。
 加藤淳は、コノハズクではないと信じていた。あの小さなコノハズクがあんな大きな声で鳴くはずがない。ラジオ放送のおかげで観光地として有名になったのはよいが、鳴く鳥がコノハズクと断定され、教科書に載ったのを見ては怒り心頭に発した。村人たちは“声の主は、ブッポウソウ”と信じていただけに教科書から受けた衝動を、村長としてどう和わらげるのか、真剣に対策を考えなければならなかった。
 そこで加藤村長は起死回生の二つの手を打った。そこには文人加藤の面目躍如たる妙案が練られていた。一つは鳥類学会への直訴であり、二つには学校教育への対応であった。
直訴
 学会長黒田博士ヘ鳳来寺村全村民の意見として、長文の手紙を書いた。
 昭和12(1937)年の春までに発表された“仏法僧”にかかわる論文や雑誌の記事をすべて集めて、徹底的に研究分析を試みたのである。そのなかから
・ブッポーソーと鳴くは、コノハズクより大きな鳥ではないか。
・教科書には、「夜鳴く」とあるが、鳳来寺山では昼間も鳴く。
と、いくつかの疑問点をはっきりさせながら問題点を浮かびあがらせる作業を続けたのである。
 この問題点に、さらに鳥類学者が来村してよく調査をすることや、ブッポーソーと鳴く鳥こそ、仏法僧と命名すべきではないかと建設的意見を書き加え、最後に日本で一番よく鳴く鳳来寺山が、教科書から除かれているのでは承服できないとしたため、大人も子どもも含めて村びとの心情をことこまかと書類にして鳥類学者たちに直訴したのである。
 昭和12年4月のある日、鳳来寺村役場の薄暗い狭い村長室に、村内の校長先生が加藤淳村長をはさんで鳩首会議を行なっていた。
※門谷小の岩瀬義三、鳳来小の山本隆次郎、布里小の宮本沢次郎、愛郷小の横井一雄の先生であった。
 新しい教科書の「仏法僧」を、子どもたちに“どうように教えたらよいか”の相談であった。加藤村長の一番頭を悩ませていた子どもについての対策を講じてもらうために集まってもらっていたのであった。
 どのような相談がなされたのか、どのような方針が出されたのか、当時の校長たちは、すでにこの世を去り、学校が当面した苦脳のなかみはうかがい知ることはできない。半世紀の歳月の流れの壁は厚くどうすることもできない。
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「昭和に生きる」〉で
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2024年04月21日

記念硬貨。 『山の上の家事学校』(近藤史恵・著)

記念硬貨0421。 雨になる予報でしたが、曇りで日が射さして、“ちょっと得した気”のした一日でした。


 資源回収に合わせて片づけをしていて、いろいろな記念硬貨が“ざっくざっく”と出てきました。
 記念硬貨は、1964(昭和39)年の東京オリンピック記念で発行された千円と百円の銀貨幣が最初で、その後、イベント記念で発行されてきました。
 「プレミアが付いて…」と期待しますが、記念硬貨の多くは流通量が多く、額面通りのようです。
 法律で、記念硬貨も“通常の貨幣と同じように使用できる”ことになっていますが、買い物に使ったら、受け取った人が戸惑うでしょうね。
  ◇財務省「過去に発行された記念貨幣は、現在でもお金として使えますか」
 さて、これらの記念硬貨、どうしようか…。



 帯の「家事ができる人もできない人も、すべての人に読んでほしい。……あなたの人生を奪われる前に。」に誘われて読んだ『山の上の家事学校』(中央公論新社・刊)です。
 離婚して一年。荒んだ生活を送っていた幸彦は、ある「学校」を紹介される。そこには様々な事情を抱える生徒たちが通っていた――。
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山の上の家事学校 (単行本) [ 近藤史恵 ]
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 ドアを開けた瞬間、少しかびくさいような臭いがした。
と、主人公 仲上幸彦 が自分の部屋に戻ったところから物語は始まります。
 この臭いは、「つまり二週間分のプラゴミが、臭いはじめているのだろう」と思われ、“ゴミ屋敷”となり始めた部屋のものです。
 仕方ないじゃないか、と。自分に言い訳をする。朝は起きてすぐ出かけていく。新聞記者という仕事柄、休日出勤も多い。布団を干す暇などない。
 こうなった部屋に住むことになったのは、「離婚したから…?」なのか…。
 結婚していたとき、“家事”をしていたのは…。
 妻からファイルを差し出された、そこには離婚届レポートがあり、レポートに書かれていたことは…。

 幸彦は、家事を教える学校「山之上家事学校」に通うことにします。
…校長は話を続ける。
「家事とは、やらなければ生活の質が下がったり、健康状態や社会生活に少しずつ問題が出たりするのに、賃金が発生しない仕事、すべてのことを言います。多くが自分自身や、家族が快適で健康に生きるための手助けをすることで、しかし、賃金の発生する労働と比べて、軽視されやすい傾向があります。」
 家事学校で学ぶこと、実習で料理を作ること、出会う人…、その一つ一つが、これまでの“取り返せない言動”に気づかせます。
 それを繰り返すうちに、幸彦の“暮らし”が少しずつ変わって…。


 “旧い人間”には、チクチクする話が続くが、「その時は気づかなかった。確かにその通り。」という事ばかりです。

 暮らしのなかに“家事”のあるすべてのみなさんにお薦めする一冊です。


   目次

第一章 悔恨
第二章 家事ってなんだ?
第三章 猿渡の抵抗
第四章 鈴菜のSOS
第五章 それぞれの事情
第六章 家事と愛
第七章 聞くレッスン
第八章 ほころびを直す
第九章 失望
第十章 新しくはじめられる場所

【関連】
  ◇近藤史恵 (@kondofumie)( X )
  ◇つながる文芸Webサイト「BOC」ボック  
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2024年04月20日

『成瀬は信じた道をいく』(宮島未菜・著)

鯉のぼり0420。 2024年本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』の続編となる『成瀬は信じた道をいく』(新潮社・刊)です。
 この図書の紹介記事は、
『成瀬は天下を取りにいく』の成瀬が帰ってきた!
との書き出しで、彼女に魅せられ、成長(?)した成瀬あかりに早く出会いたいと本を開いたことを書いていました。
 成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。
 「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!?
 読み応え、ますますパワーアップの全5篇!
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成瀬は信じた道をいく [ 宮島 未奈 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/3/14時点)



 主人公 成瀬あかりは、何でも軽々こなしながらも、威張ったり鼻にかけたりせず、他の人が予想のつかない思考と行動で、我が道をゆきます。
 前作で、滋賀県大津市膳所駅近くに住み、西武大津店閉店と聞けば夏休みを捧げて通いローカル番組中継に映り、漫才コンビ「ゼゼカラ」を組んでM-1に出場し、お祭りの司会も引き受ける、地元愛の強い姿が描かれました。

 それに続く本書は、「膳所から世界へ!」と舞台に立ったゼゼカラに心をつかまれた小学4年生の話から始まります。
 京都大学を受験し、合格した成瀬、そしてお父さん(慶彦)が…。受験で出会った高知の浪人生と…。
 大学生の成瀬がアルバイトするスーパーで出会った(?)主婦が…。
 びわ湖大津観光大使となった成瀬は…。
 大晦日の朝、姿を消した成瀬が向かったのは…。

 大学生となった成瀬は、地元(膳所、大津)から飛び出し、東京へも…。
 最終話は、“2026年の元旦”、ゼゼカラの相方 島崎と神社へお詣りに行き、おみくじを引き、二人で話をするところで終わります。二人は…。

 読み終えて、成瀬の“痛快さ”に酔って(?)おり、成瀬のこれからが気になりました。
 著者はインタビューで
○ 3作目もありそうですね。
・ はい、もう書き始めています。4作目もおそらく。けど、少し時間は空けたいなって思っています。
・ どのように現在の成瀬あかりになっていったか、時間を戻して幼少期の章を書くとかあるかもしれない。
と、第3作を書いていることを明かしています。
 次は、どんな成瀬あかりに会えるでしょう。楽しみです。


   目次

ときめきっ子タイム
成瀬慶彦の憂鬱
やめたいクレーマー
コンビーフはうまい
探さないでください

【関連】
  ◇宮島未奈 (@muumemo)( X )
  ◇宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』特設サイト(新潮社)
  ◇人気青春小説、主人公「成瀬あかり」に中毒者続出! 『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈氏に聞く | 話題の本 著者に聞く(東洋経済オンライン)

  ◇『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈・著)(2024/03/31 集団「Emication」)
成瀬0420。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

成瀬は天下を取りにいく [ 宮島 未奈 ]
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