2024年03月31日

『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈・著)

渦潮0331。 暑い一日でした。
 そして、遠景が白く霞んでいた一日でした。
 「“春霞…」と風情にひたるにはちょっと…。ハクション



 2024年本屋大賞ノミネート作の一つ『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社・刊)を読みました。

 “源氏物語誕生の地”としてPRしている滋賀県大津市の「膳所(ぜぜ)」を舞台に、主人公“成瀬あかり”の言動、そして回りの出来事、新型コロナ禍の学校生活が描かれています。
 2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
 コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
 M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
 今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
 2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!
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 「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う
から、物語が始まります。
 主人公の成瀬あかりが、一緒に下校する 島崎みゆき に“また変なこと”を言ったのです。
 本書のカバーに描かれた建物が、閉店する西武大津店のようです。
「八月になったらぐるりんワイドで西武大津店から生中継をする。それに毎日映るから、島崎にはテレビをチェックしてほしい」
 毎日西武に通い、しかも、ライオンズのユニフォームを着て、地元テレビ局の放送に映り…。
 成瀬の“西武に捧げる”行動に、島崎も加わります。そこにユニホームが用意されており…。


 成瀬の行動は、周囲の目を気にせず、我が道を行きます。興味や関心をもったことには躊躇せず行動します。
 小学校の卒業文集に「二百歳まで生きる」と将来の夢を書き、期末テストで500点満点を取ると宣言する。
 成瀬が言うには、大きなことを百個言って、ひとつでも叶えたら、「あの人すごい」になるという。だから日頃から口に出して種をまいておくことが重要なのだそうだ。(略)

 “西武に捧げた”ことに続いて言いだしたのは、「島崎、わたしはお笑いの頂点を目指そうと思う」で、M-1への出場を目指します。
 相方は、島崎です。

 続いて、丸坊主、かるた、デート…。


 6つの話は、途中で「違う話…?」と感じるところがありましたが、そうではなく、登場人物、出来事が緩やかにつながっていく連作(?)でした。
 宿題だけでもしっかりやろうと数学の問題集を開いた瞬間、ふと思った。これから本気で勉強に取り組んだら、東大に行けるだろうか。成績上位では目立ってしまうという懸念から、これまで勉強に本腰を入れるのを避けてきた。もうちょっと頑張れそうなときでも、これぐらいにしておこうかなとブレーキをかけてしまう。(略)
 その話の繋がり、登場人物の繋がりが、愉快でした。


 「成瀬あかり」、ただ者ではない。素敵な発想、魅力的な育ち方をしています。
 「成瀬が天下を取る!」 それを成すと思います。
 お薦めの一冊です。
成瀬0331。

   目次

ありがとう西武大津店
膳所から来ました
階段は走らない
線がつながる
レッツゴーミシガン
ときめき江州音頭

【関連】
  ◇宮島未奈 (@muumemo)( X )
  ◇宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』特設サイト(新潮社)
  ◇本屋大賞
  ◇紫式部の筆はしる源氏物語誕生の地大津

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Posted by ガク爺 at 17:00│Comments(0)読書
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