2024年04月27日

『教養としての発酵』(村井裕一郎・著)

しらす丼0427。 サプリメント摂取による健康被害の拡大で、“紅麹”の文字や名を見聞きすることが続いています。
 「」は難しい文字ですが、馴染みのある文字になった方も多いでしょう。そのため、よく知らずに「麹=よくないもの」という印象をもってしまっていないでしょうか。

 麹をはじめ発酵について種麹屋29代当主が著した『教養としての発酵』(あさ出版・刊)を読みました。 X で著者が麹について、
(3/24) 今、報道に出ている『紅麹』は、『麹』と名前がついているだけで、酒、味噌、醤油、焼酎、甘酒、酢、味醂、など、幅広く日本の発酵食品に使われる『麹菌』とは、全く異なる菌です。
 一般的な麹菌はAspergillus属、今回話題になっている紅麹はMonascus属となり、全く異なります。
 いわゆる国菌としての麹菌は日本醸造学会により定義されています。また、麹菌はカビ毒を生産しないことが遺伝子レベルで確認されています。
 今回の件が麹菌の風評被害につながらないことを切に願います。
と発信していました。
 麹や発酵食品への間違った風評が出たり、嫌われたりすることのないように願っています。

 本書は、発酵という仕組みを、いろいろな角度から学ぶことができます。
 2013年に「和食」がユネスコ世界無形文化遺産に登録されました。
 和食に使われる、醤油、みりん、酒、味噌、酢など、その多くが発酵食品です。
 今や発酵は世界で注目を集めており、日本を代表する技術であり文化である発酵の知識は、ビジネスパーソンが身につけるべき教養の一つと言えるでしょう。
 発酵とはそもそも何なのか、なぜ発酵が今世界で注目されているのか、発酵の歴史や種類、知っていると一目おかれる知識などを、室町時代から600年続く種麹メーカーの29代当主が、わかりやすく伝えます。

 カバーの袖に
近年、発酵ビジネスは急成長を遂げており、世界でおどろくほど大きな注目を集めています。
日本を代表する技術であり文化である発酵の知識は、今やビジネスパーソンが身につけるべき教養の一つと言えます。
あり、続けてカラーページで「日本の発酵食品(Fermentaed foods of Japan)」と「世界の発酵食品(Fermentaed foods of the world)」が、それぞれ日本地図、世界地図に示してあります。
 “発酵”をよく分からないまま本書を開いた人も、この日本地図に載る“食品名”を見て、それぞれのイメージをもって本文へ入っていけるでしょう。

 最初に発酵を次のように定義しています。
 発酵とは狭くも広くも様々な定義がありますが、本書ではまず、
微生物の活動によって物質が変化すること
と定義します。
 発酵には微生物が欠かせないようです。
 人間は微生物たちの力を借りて初めて発酵食品をつくることができます。
 味噌の材料は、米、豆、麦などの穀物と、水と塩ですが、私たちにはこの材料を混ぜることはできても、これらを味噌に変化させることはでいません。味噌をつくっていくれるのは微生物たちです。

 微生物の力を借り“人に役立つ変化”をさせていく技術、歴史、文化の視点から解説しています。
 もしも“人に役立たない変化、害になる変化”をしたら…。
 見方でも変わってくる発酵が…。

 ビジネスパーソンでも、そうでなくても、発酵について深く知ることができる一冊です。
 発酵食品を、楽しく美味しく食べましょう。


   目次

はじめに
第1章 なぜ今、ビジネスパーソンが発酵を知るべきなのか
第2章 発酵の基礎知識
第3章 発酵の歴史と日本の発酵食品
第4章 世界と日本の発酵
第5章 ビジネスパーソンが知っておきたい日本の発酵業界について
第6章 発酵を生活に取り入れる
おわりに
参考資料
付録 麹のつくり方

【関連】
  ◇村井裕一郎/種麹屋29代当主(創業600年) (@ymurai)( X )






タグ :読書

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Posted by ガク爺 at 17:00│Comments(0)読書
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