2025年02月25日

【備忘録】「学校規模の適正化」から考える

非常ベル0225。 日本社会の“少子化”が進み、さまざまな場所で「子供の数が少なくなって、今までのようには…」、「地域の活力がなくなってきて…」など話題に出てきます。


 少子化の進展は、多くの地域で“小規模校の増加”として表れています。
 昨年の夏、文部科学省から「令和5年度 学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査」の結果が発表され、域内に小規模校があると回答した市町村が8割以上でした。

 そうした小規模校を対象に“学校統合”を進めて、「学校規模の適正化」を図っていきます。
 しかし、それが進められない場合が増えているそうです。
 学校間の距離が遠過ぎる、すでに自治体で1校となっているなど、過小規模の学校があっても「統合の対象となり得る学校がない」という自治体が11%ありました。


 “適正な”学校規模とは…
 小規模校1校の自治体は…



 “トヨタ”のある豊田市でも、少子化への対応が急がれているようです。
 豊田市内の一部の小学校で、児童数の減少が顕著になってきている。市教委の調査では、全校児童数30人以下の小学校が現在の8校から2030年度には20校と倍以上に増えると予測されている。児童数も現在の約2万2千人から同年度には約1万8千人に減る見込み。(略)
 「児童への対応は、質的、量的な面で難しくなっている」。2日の一般質問で、市教委の山本浩司教育長はこう答弁した。(略)
 市教委が08年に定めた「学校規模の適正化に関する基本方針」では、12学級以上24学級以下を推奨し、選択肢の一つに「地域合意を前提とした統廃合」を挙げている。この方針により10年には藤沢小、12年には築羽小が、適正規模を外れ、改善の見込みがないとして統廃合に至った。本年度はこの方針が改定される予定だが「小規模校への対応として、ベースとなる部分は変わらない」と(略)
 ただ、具体的な適正化の方向性については検討中。岩月課長は「通学距離や地域の状況なども踏まえる必要があり、すぐに統廃合の議論に入るわけではない」と語る。
 少子化が進む中、全国各地で学校再編が進められている。記者(25)が通った都内の母校でもかつて、統廃合の議論が巻き起こった。校舎はどこに置くのか。伝統や地域の輪はどう維持するのか。議論は紛糾し、保護者や子ども、地域間の溝を深めた。統廃合は避けられたが、そのしこりを感じることは今でもある。そうならないためにも、地域や行政は現実を冷静に見つめ、時間をかけて準備していってほしいと願う。
  ◇学校再編、しこり避けて 豊田市議会9月定例会…(中日新聞Web)


 子供は、どのような規模を“適正”だとするのだろう…
 学校には、“リアル”も“バーチャル”もありそうだが…
 50年後、100年後の日本社会に生きる「学校」って何だろう…



【参考】
  ◇Facebook投稿 2024/08/02


  ◇東愛知新聞 2023/11/15 記事
  
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2025年02月12日

第40条 子どもに関する司法 (子どもの権利条約)

鳥0212。 「子どもの権利条約 (児童の権利に関する条約)」第40条「子どもに関する司法」です。政府訳から
  第40条
1. 締約国は、刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定されたすべての児童が尊厳及び価値についての当該児童の意識を促進させるような方法であって、当該児童が他の者の人権及び基本的自由を尊重することを強化し、かつ、当該児童の年齢を考慮し、更に、当該児童が社会に復帰し及び社会において建設的な役割を担うことがなるべく促進されることを配慮した方法により取り扱われる権利を認める。
2. このため、締約国は、国際文書の関連する規定を考慮して、特に次のことを確保する。
 a. いかなる児童も、実行の時に国内法又は国際法により禁じられていなかった作為又は不作為を理由として刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定されないこと。
 b. 刑法を犯したと申し立てられ又は訴追されたすべての児童は、少なくとも次の保障を受けること。
  i. 法律に基づいて有罪とされるまでは無罪と推定されること。
  ii. 速やかにかつ直接に、また、適当な場合には当該児童の父母又は法定保護者を通じてその罪を告げられること並びに防御の準備及び申立てにおいて弁護人その他適当な援助を行う者を持つこと。
  iii. 事案が権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関により法律に基づく公正な審理において、弁護人その他適当な援助を行う者の立会い及び、特に当該児童の年齢又は境遇を考慮して児童の最善の利益にならないと認められる場合を除くほか、当該児童の父母又は法定保護者の立会いの下に遅滞なく決定されること。
  iv. 供述又は有罪の自白を強要されないこと。不利な証人を尋問し又はこれに対し尋問させること並びに対等の条件で自己のための証人の出席及びこれに対する尋問を求めること。
  v. 刑法を犯したと認められた場合には、その認定及びその結果科せられた措置について、法律に基づき、上級の、権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関によって再審理されること。
  vi. 使用される言語を理解すること又は話すことができない場合には、無料で通訳の援助を受けること。
  vii. 手続のすべての段階において当該児童の私生活が十分に尊重されること。
3. 締約国は、刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定された児童に特別に適用される法律及び手続の制定並びに当局及び施設の設置を促進するよう努めるものとし、特に、次のことを行う。
 a. その年齢未満の児童は刑法を犯す能力を有しないと推定される最低年齢を設定すること。
 b. 適当なかつ望ましい場合には、人権及び法的保護が十分に尊重されていることを条件として、司法上の手続に訴えることなく当該児童を取り扱う措置をとること。
4. 児童がその福祉に適合し、かつ、その事情及び犯罪の双方に応じた方法で取り扱われることを確保するため、保護、指導及び監督命令、カウンセリング、保護観察、里親委託、教育及び職業訓練計画、施設における養護に代わる他の措置等の種々の処置が利用し得るものとする。
 ここまで紹介してきたなかで、長い条文となっています。
 そして、この条文の説明が最後となります。

 “子ども発”には、次のようでした。
********
   第40条「少年司法」 殺人事件でヌレギヌを着せられた少年。
 ① 刑法に違反したと言われたり、追及されたり、また違反したと判断された子どもは、1人1人を大切にする気持ちや1人1人が価値ある存在であると考えていけるようなやり方で扱われる権利を持っています。これは、その子どもが人権や基本的自由を大切にし、子どもの年令や、子どもがよりよい社会をつくっていくことに貢献するよう考えたやり方です。
② 締約国は、この目的のため、外国との取り決めに気を配りながり、とくに次のことが守られるようにします。
 (a) 何かをした時に、それが国内法・国際法で禁止されていなければ、その後法律が変わったとしても、それを理由に、刑法に違反したと言われたり、追及されたり、違反したと判断されてはいけません。
 (b) 刑法に違反したと言われたり、追及されたりした子どもは、少なくとも次の保障を受けます。
 (i) 法律に従って有罪だと証明されるまでは、無罪だと考えて扱われること。
 (ii) 自分がどんな犯罪をしたと言われているかを、すぐに、そして直接に、適当な時には親か親代わりの人を通して伝えられること。自分を守るためのものを準備し提出する時に、法律や他の良い方法で手助けを受けること。
 (iii) 法律で判断をまかされ、独立した公平な裁判所などの機関が、法律にしたがって子どもを公平に調べいろいろな決定をするとき、弁護士や援助をする人、また親や親代わりの人が立ち会って、速く決定をされること、ただし、子どもの年令や状況によっては、親や親代わりの人は立ち合いません。
 (iv) 無理やり証言させられたり自白させられたりしないこと。自分に不利な証人に質問したり、質問を受けさせたりすること。平等に自分のための証人を出席させ質問すること。
 (v) 刑法に違反したと決定された時には、この決定やその結果行われることが、独立した公平な、上級の裁判所など法律で判断をまかされた機関によって、法律にもとづき、もう1度調べ直されること。
 (vi) 通訳を必要とする場合には無料でつけること。
 (vii) こうした手続きの間、ずっと、プライバシーが十分に大切にされること。
③ 刑法に違反したと言われたり、追及されたり、また違反したと判断された時、特に子どもに対してあてはまる法律や手続、機関や施設を作っていくように努力します。その中でも特に次のことに努力します。
 (a) 刑法に違反する能力がないとする年令を決めること。
 (b) 人権や法律による保障を十分に大切にすることを条件に、子どものためになるならいつでもこうした子どもを裁判せずに取扱えるようにすること。
④ 子どもの犯罪に、処分を与える時は、犯罪の性質や今の子どもの状況を考え、特に子どもの幸せのためになる方法を用います。その子どもの幸せのためになり、また子どもの今いる状況ややった犯罪に合った方法で子どもを取扱えるようにするために、締約国はそうした子どもをケアしたり、子どもを指導し監督するように命令を出したり、カウンセリングさせたり、子どもを保護監察処分にしたり、親代わりの人に預けたり、教育や仕事のための訓練のプロ
グラムをやらせたりします。その他、子どもの処分は国の施設の中でなくとも行なえるようにします。
*自分を守るためのもの……自分に有利な証拠や、自分を弁護してくれる弁護士などのことをさしています。
*上級裁判所裁判所が決めたことを、間違いがないかどうかもう一回調べる裁判所のことです。日本では、地方裁判所の上級裁判所として高等裁判所、その上級裁判所として最高裁判所があります。
*刑法に違反する能力……刑法に違反して犯罪を犯すのが悪いことだとわかる能力のことです。この能力がない人を罰することはできません。
*保護監察処分……犯罪を犯した人を立ち直らせるために、捕まえておかずに社会の中で生活させながら、指導や援助を行うこと。
 何年か前、カギのついていない自転車に乗っていて、警官に呼び止められたことがある。いきなり「それ、誰の?」と聞くので「ぼくのですが」と答えると、「ちよつと待ってな」と言い、いろいろ調べ始めた。結局、自分のだということがはっきり証明できたので「気つけて帰りゃ」と言われて帰ったものの、疑われる時はなかなか簡単に疑われるものだ。

 最近、ある殺人事件でヌレギヌを着せられ、犯人にされかかった少年と話す機会があった。その人も、ただ事件のしばらく後に現場近くにいたというだけで疑われたのだった。
 一応「任意同行」ということで警察に連れていかれたはずなのに、帰ろうと思っても帰してもらえない。しかも、取調べの刑事は完全に「クロ」という前提で話を進める。調書が実は何も言わない内からおおかた出来上がっていて、それに沿ったことを言わないと、調書に何も書いてくれないという。昼すぎから夜までぶっ通しで調べられ、腹は減るし体は疲れきるしといった状態で、「やったんだろ?」と何度も言われ、共犯者とされた友達2人も自白したと聞かされて(本当はデタラメ)、自白すれば帰してくれるというし“もうどうでもいいや” 的にウソの自白をしてしまったという。もちろん、自白して帰してくれたかといえばそんなことはなく、留置場に入れられあとは犯人扱いされてしまったわけだ。
第40条0212。 もっと困ったことに、接見した弁護士まで「クロ」という前提で「どうすれば軽い罪ですむか」ということばかり言っていたそうだ。
 結局この事件は良心的な弁護士の人たちのお蔭で無罪が証明されたのだけれど、そういう警察のズルい取調べ方はまだまだあって、それにのせられて犯罪者に仕立て上げられる人も多い。
 まして少年法では、少年が疑われた場合、大人なら当然認められている権利がなかったりする、例えば、大人なら必ず弁護人がつく(本人がつけられなければ国がつける)のが、子どもだとそうはならない。弁護人じゃなく、「付添人」しかつけられない。
(略)
 でも、考えてみると、子どもにこそ弁護人は必要なんちゃうか、と思う。法律知識からしても、検事との駆け引きにしても、大人の場合と比べて疑われる側が不利なのは目に見えてる。
(略)
 そのへんのことをなくすために、この条文はある。いらぬ苦痛を受けさせられぬように、そしていつでも助け船を出してもらえるように、たった一つの罪のために社会から放り出されることがないように、というようなことだ。
 ちなみにこの条の③では、裁判所の判断を受けるのは手続きもややこしいし時間もいくらかかかるから、細かい事件の場合はいちいち裁判所にまわさなくてもすむような扱い方があった方がいい、ということを言ってる。でも、今の日本では、被疑者に対する扱いについてはさっきも書いた通りで、警察にはあまり信用がおけないので、ちょっと手放しで喜ベない。必ずしも裁判所を通さなくてよい、となると、へタをするとますます密室の中で事が進むようになって、いい加減な処分をされることだってありうるからだ。警察がもっと信頼される機関になるか、信頼のおける他の機関が処分を決めるようにするか、どっちかがないと、今のままではちょっと問題アリだ。
 条約がいつもいい効果を及ぼすとは限らない、ということの一つの例でもある。
*任意同行……捜査機関が、強制でなく、本人がOKした上で取調べのために連れて行くことを言う。イヤなら途中で帰っても良いタテマ エであるのは言うまでもない。
********

 「子どもの権利条約 (児童の権利に関する条約)」は、第54条までありますが、本書やunicefのガイドブックでは、ここまででした。
子どもの権利条約0212。

【関連】
  ◇子どもの権利条約(UNICEF)
  ◇子どもの権利条約(日本ユニセフ協会)

 注)これまでの記事は〈タグ「権利条約」〉で
 注2)掲載しているイラストは、日本ユニセフ協会「子どもの権利条約 関連資料」より借用しています。
 《参考》◇「先人に学ぶ」に学んで(リンク集)(2024/09/30)  
タグ :権利条約


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2025年02月07日

第39条 被害にあった子どもの回復と社会復帰 (子どもの権利条約)

菜の花0207。 「子どもの権利条約 (児童の権利に関する条約)」第39条「被害にあった子どもの回復と社会復帰」です。政府訳から
  第38条
 締約国は、あらゆる形態の放置、搾取若しくは虐待、拷問若しくは他のあらゆる形態の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰又は武力紛争による被害者である児童の身体的及び心理的な回復及び社会復帰を促進するためのすべての適当な措置をとる。このような回復及び復帰は、児童の健康、自尊心及び尊厳を育成する環境において行われる。

 “子ども発”には、次のようでした。
********
   第39条「犠牲となった子どもの心身の回復と社会復帰」 どうする、ニッポンの大人たち。
 締約国は、ほったらかしにされたり利用されたりいじめられたりした子ども、拷問やその他人間にすべきでなく子どもの品位を傷つける扱いや刑罰をうけた子ども、または武力を使った争いに巻き込まれた子どもが、体や心を回復し、また社会に戻れるようにします。こうした回復は、健康・自分自身を大切にする気持ち・人間としての尊さ、を育てる環境の中で行われます。
 南部アフリカにあるモザンビークという国の子どもたちが、ものすごくひどい目にあっているということをこの本を書きはじめてから知った。
 南アフリカ共和国のアパルトヘイト(人種差別)政策に反対を示しているモザンビークで、南アフリカ共和国が支援している反政府ゲリラが破壊活動をしている。国を混乱させるために鉄道や道路を通れないようにしたり、駅や学校や病院を破壊してそこに住む人たちが生活できないようにしてしまう。そればかりじゃなく、そこに住んでる人たちを無差別に襲ったり、男の人たちを無理矢理にゲリラに入れて働かせようとする。6歳の男の子まで連れていって、村を壊したり人を殺したりするように強制したという。逆らったり逃げたりした人たちは、殺されたり一生残るケガをさせられたりしている。
第39条0207。 ゲリラのせいで、家族や住むところをうばわれてしまったり、目の前でお父さんやお母さんを殺されたり 自分の手や足を切られた子どももいる。子どもたちはあまりにも残酷な状況にさらされて、その恐ろしい日々のことを毎日夢に見たりショックで口がきけなくなることもあるという。
 とても信じられないことが、同じ地球の中で起こってるんだ。このことを友人から聞かされたときは、頭がかなしばりになってしまった。
 どうしたら、子どもたちは元気になることができるんだろう? 心のキズが回復するのにはどうすればいいんだろう?
 自分ひとりの力ではどうすることもできない、国や 大人たちっていう大きなカの犠牲になってしまった子どもが世界にはまだまだたくさんいるんだ…。その子どもたちが、自分らしさを取りもどして社会で元気に生きていけるように、国はありとあらゆる努力をしていかなくちゃならない。
 その子どもがつらくなってしまう原因を取りのぞくためには 何が必要なのかをよく考えなくちゃいけない。
 日本の子どもの場合もそうだ。(略)

 モザンビークの子どもたちと日本の子どもたちが置かれる状況を全く同じ次元では語れない。日本の子どもは(ワタシみたいな大人もふくめて)もっと他の国々で犠牲になっている子どもがいるという事実を知った方がいいと思う。それで、自分たちはまだましだなあ、と安心するんじゃなく、同じ子どもとして自分は何ができるか考えることが大事なんじゃないかと思う。
 それにしても、日本の国や大人は、恵まれているといわれている自分たちの社会で犠牲になっている子どもたちと、生きていくことすらおびやかされてる子どもたちの状況をどうやって変えていこうと考えるのでしょうか?
********



【関連】
  ◇子どもの権利条約(UNICEF)
  ◇子どもの権利条約(日本ユニセフ協会)

 注)これまでの記事は〈タグ「権利条約」〉で
 注2)掲載しているイラストは、日本ユニセフ協会「子どもの権利条約 関連資料」より借用しています。
 《参考》◇「先人に学ぶ」に学んで(リンク集)(2024/09/30)  
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2025年02月06日

第38条 戦争からの保護 (子どもの権利条約)

花0206。 「子どもの権利条約 (児童の権利に関する条約)」第38条「戦争からの保護」です。政府訳から
  第38条
1. 締約国は、武力紛争において自国に適用される国際人道法の規定で児童に関係を有するものを尊重し及びこれらの規定の尊重を確保することを約束する。
2. 締約国は、15歳未満の者が敵対行為に直接参加しないことを確保するためのすべての実行可能な措置をとる。
3. 締約国は、15歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控えるものとし、また、15歳以上18歳未満の者の中から採用するに当たっては、最年長者を優先させるよう努める。
4. 締約国は、武力紛争において文民を保護するための国際人道法に基づく自国の義務に従い、武力紛争の影響を受ける児童の保護及び養護を確保するためのすべての実行可能な措置をとる。

 “子ども発”には、次のようでした。
********
   第38条「武力紛争における子どもの保護」 だから、戦争をしないこと。
① 締約国は、武力を使った争いに子どもがまき込まれているとき、その国にあてはまる、国際人道法の中のきまりを大切にし、また大切にさせるようにします。
② 締約国は、15歳にならない人を、戦闘に直接参加させないようにします。
③ 締約国は、15歳にならない全部の人を軍隊に入れないようにします。また、18歳にならない人を軍隊に入れる時は、1番年上の人から入れていきます。
④ 締約国は、武力を使った争いの中で、国際人道法にもとづき、一般市民を守るために定められた義務にしたがって、争いにまき込まれた子どもを保護し世話します。
*国際人道法…人間を人間らしく扱うために結ばれた、国と国の条約などのことを言います。
 戦争や内戦をはじめるのは政治家や、軍隊の人だったり、 国の一部のほんのちょびっとの人たち。でも、戦争になって兵隊にとられたり爆弾が落っこちて家が焼かれたり人が殺されたり、犠牲になるのは、被害にあうのはその国の全部の人たちだ。その中には当然子どもがいる。
第38条0206。 世界ではたくさん戦争が起きてる。この国だって、45年前までは戦争をしていた。ワタシの父も母も戦時中に子どもだった。母方のおじいちゃんは結核で兵隊にとられなかったタメに、非国民だって石を投げられていた。そして戦争に負けて、憲法の第9条にもかいてあるように2度と戦争をしないことを約束した。それからこの国の中では戦争になっていない。でも、ワタシがここでこうして字を書いたり、TV見てヘラヘラしているときに、世界のどこかではたくさんの人がけがをしたり亡くなったり、親と離ればなれになっている。そして、今、イラクとアメリカで戦争が始まるかもしれない。アメリカは日本もこの戦争にお金を出せといっている。でもお金を出したら日本は戦争してるのと同じことになると思う。日本の出したお金で戦争するんだもん。その戦争で、たくさんの子どもが兵隊として戦わされたり傷ついたりするんだ。
 子どもが(大人もそうだけど)一部の人の始めた争いにまき込まれてつらい苦しい痛い目にあうなんてひどすぎる。だから、少なくとも子どもだけは、戦争や内戦が起きたとき、兵隊にとられない。安全で安心していられるところに保護されるようにと、この条約ではいっている。
 でも、自分のお父さんやお母さんが戦争でひどい目にあっていたら、自分だけ保護されてもつらい心は変わらないじやないか。だから戦争をしないことがこの条約を守ることだと思う。
********
 この記事でも述べているように、日本で戦争は起きていないが、世界では長く続く戦争や紛争があり、子供達が犠牲になっている。
 “戦後80年”の今、戦争を止める、新たな紛争を起こさないために、動き出す時だと思います。
 一人に出来ることは小さいでしょうが、傍観者でなく、声を出し行動する人でありたい!


【関連】
  ◇子どもの権利条約(UNICEF)
  ◇子どもの権利条約(日本ユニセフ協会)

 注)これまでの記事は〈タグ「権利条約」〉で
 注2)掲載しているイラストは、日本ユニセフ協会「子どもの権利条約 関連資料」より借用しています。
 《参考》◇「先人に学ぶ」に学んで(リンク集)(2024/09/30)  


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2025年01月31日

第37条 拷問・死刑の禁止 (子どもの権利条約)

籾焼き0131。 「子どもの権利条約 (児童の権利に関する条約)」第37条「拷問・死刑の禁止」です。政府訳から
  第37条
 締約国は、次のことを確保する。
a. いかなる児童も、拷問又は他の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けないこと。死刑又は釈放の可能性がない終身刑は、18歳未満の者が行った犯罪について科さないこと。
b. いかなる児童も、不法に又は恣意的にその自由を奪われないこと。児童の逮捕、抑留又は拘禁は、法律に従って行うものとし、最後の解決手段として最も短い適当な期間のみ用いること。
c. 自由を奪われたすべての児童は、人道的に、人間の固有の尊厳を尊重して、かつ、その年齢の者の必要を考慮した方法で取り扱われること。特に、自由を奪われたすべての児童は、成人とは分離されないことがその最善の利益であると認められない限り成人とは分離されるものとし、例外的な事情がある場合を除くほか、通信及び訪問を通じてその家族との接触を維持する権利を有すること。
d. 自由を奪われたすべての児童は、弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有し、裁判所その他の権限のある、独立の、かつ、公平な当局においてその自由の剥奪の合法性を争い並びにこれについての決定を速やかに受ける権利を有すること。

 “子ども発”には、次のようでした。
********
   第37条「死刑・拷問等の禁止、自由を奪われた子どもの適正な取り扱い」 遠山の金さんを嫌いになるとき。
 締約国は、次のことが守られるようにします。
 (a) どんな子どもも、拷問やその他、人間にすべきでなく子どもの品位を傷つけるひどい扱いや刑罰を受けません。18才にならない人のやった犯罪に対して、死刑や、一生刑務所に入れておくような刑罰にしてはいけません。
 (b) どんな子どもも、その自由を、不法に他人の勝手で奪われることはありません。子どもの逮捕・抑留・拘禁は法律にしたがって行われ、最後の手段として、またできるだけ短い期間だけ行われます。
 (C) 逮捕・抑留・拘禁などで自由を奪われた子どもは、人間らしく、また、その年齢の子ども特別に必要なものを考えて扱われます。大人と引き離されることが、子どもに良くない場合以外は、大人と別の場所に置かれます。また特別な事情のある時を除いては、家族に電話したり手紙を出したり会ったりする権利があります。
 (d) 自由を奪われたすべての子どもは、法律上や他の適当な援助を、すぐに受ける権利と、自由を奪われたことが法律に合っているかを裁判所などの法律で判断をまかされた公平な機関で争い、またそれを速く決めてくれるように言う権利があります。
*品位…人の心の気高さを言います。
*逮捕・抑留・拘禁は第9条を参照。
*大人と引き離される・大人の別の場所…ここでいう大人とは、逮捕・抑留・拘禁などで自由を奪われた大人のことです。ですから、ここで言われているのは、たとえば、逮捕された子どもを、逮捕された大人と同じ部屋に置いておいてはいけない、 ということです。
 おととし(1988年)の夏、中学2年生が両親とその場に居合わせた祖母を金属バットで殴り殺す事件があった。あまり多くは書かないけれど、ぼくはどうも他人事と思えなくてね。正直な話、ぼくも父親に本気で殺意を持ったことが一度だけある。幸い、実行に移さない内に気持ちを無理に落ち着けたけれど、後になってからふつうの人と殺人犯なんて紙一重の差しかないな、とつくづく思った。
 三流週刊誌はよく殺人犯のことを異常心理だのなんだのと書くけれど、別にどっか異常でふつうに暮らしている人は多いし、ふつうの人も異常な環境におかれりゃ異常になるものだ。最近は殺人事件でア二メやパソコンゲームのマニアが逮捕されると異常だ自己中心だと風当たりが強いが、あんなのはどこにでもいるマニアであって、「とっと変なヤツ」ぐらいのものだ。何も犯罪者っていう特定の人種があるわけじゃなくて、犯罪者だってもともとふつうの人なのだ。だから、きっちり反省してしまえばもう、過去は過去でしかない。
第37条0131。 死刑というのはその反省の機会を奪ってしまうだけに、刑としてよくない。大体、裁判は人間の良心に従わなくてはならんのだ。遠山の金さんは「許し難い、市中引きまわしの上、打ち首獄門申し渡す」と言って終わってしまうからあやうく正義らしさを保っているけれど、越後屋が引きまわしにされるところやさらし首にされるところを今の時代の人がTVで見たら、誰だって金さんを嫌いになるだろう。
 要は罪人が罪の重さを自覚すればいい。自分と犯罪者の紙一重しかない差を考えると、とても死刑に限らず拷問や残虐な罰をおいとく気にはなれない。家族を殺された人は「犯人に死刑を」と思ってしまうだろうけれど、犯人もその人も人を殺したくなっているという点では同じなのだ。
 まして子どもの内はまだまだわからないことも多い分、大人と同じように罪を問われるのはキツいものがあるし、頭が柔かい分善悪の判断もこの先いくらでも身につくんだから、なおさらだ。残虐な、「いくらなんでもひどすぎる」としか思えない罰は、かえって逆効果で反省する気を失わせることにもなる。
(略)
 ましてや、警察っていう密室はなかなかクセモノで、子ども一人ではシュンと小さくなってしまって、権利を主張できるものもできなくなる。そこで、いつでも家族なり、弁護士とかの味方なりに会ったり助けを求めたりできるような環境が必要になる。
 この条文の基本は、「どんな場合も苦痛は必要最小限に、助け船は最大限に」ということであって、罪がはっきりする、しないに関らず、それが守られてないとアカン、と。ま、そういうわけやな。
********



【関連】
  ◇子どもの権利条約(UNICEF)
  ◇子どもの権利条約(日本ユニセフ協会)

 注)これまでの記事は〈タグ「権利条約」〉で
 注2)掲載しているイラストは、日本ユニセフ協会「子どもの権利条約 関連資料」より借用しています。
 《参考》◇「先人に学ぶ」に学んで(リンク集)(2024/09/30)  
タグ :権利条約


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2025年01月30日

学校給食週間。 第35条 誘拐・売買からの保護 (子どもの権利条約)

鮭0130。 先週24日から今日30日まで「全国学校給食週間」でした。
 小学生、中学生のいる家庭では、「どんな味かな。楽しみだな。」などと献立表を見て、話に花が咲いていたとことでしょう。
 1889(明治22)年に、貧困の児童を救済する目的で学校給食が始められました。
 山形県鶴岡市の私立忠愛小学校で、「おにぎり、焼き魚、漬け物」が無料で用意されたことが、日本での学校給食の始まりだと言われています。
 その後、戦争による食料不足で給食を中止することになりました。
 戦後、栄養失調の子供達を救うために、1946(昭和21)年12月24日から、東京などの学校で全児童を対象に試験給食が行われました。
 それを記念して「学校給食感謝の日」としていますが、年末を避け1か月後の1月24日からを「全国学校給食週間」としています。
 この期間の学校給食では、いつもより地産地消を意識した献立が取り入れられたり、昔の給食を再現したりして、給食について考え、感謝する機会をもっています。
 現在の子供達は、どのように学校給食週間を楽しみ、どんな給食を味わったのでしょう。



 「子どもの権利条約 (児童の権利に関する条約)」第35条「誘拐・売買からの保護」です。政府訳から
  第35条
 締約国は、あらゆる目的のための又はあらゆる形態の児童の誘拐、売春又は取引を防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。

 “子ども発”には、次のようでした。
********
   第35条「誘拐・売買・取引の防止」 最初はジョーダンかと思った。
 締約国は、全ての子どもの誘拐、売り買いを防ぐために、国内や他の国との間で、 手をうちます。
 この条文は、子どもを誘拐したり、売ったり、買ったり、大人の都合で自分のモノのように扱っちゃならないと書いてある。
 そんなの当り前のことじゃん、と思う。でも、この当り前のことを書いておかなくちゃならない状況があるんだ……。ワタシは17歳のときに行ったフィリピンのネグロス島でのことを思い出した。
 ネグロスのスラムに行ったときだった。「日本人だろ?この子を買わないか?日本につれていっていいから」
 10歳くらいの女の子を連れたおじさんが笑いながら話しかけてきた。ワタシにではなくいっしょに行った30代の男の人たちに向かっておじさんは話している。最初はジョーダンでいっているのかと思った。でも、何回もそういってくる。自分の娘だから売ってあげるという。その言葉にワタシたちは「えっ!?」と顔を見合わせてしまった。
第35条0130。 どーして自分の娘を売るなんていうんだ…。そりゃあ、子どもを売るっていう話を聞いたことがないワケじゃない。でも、目の前で笑ってる女の子を「買わないか」なんていわれると、ゾッとしてしまう。
 娘を売れば生活が楽になるというからなのかもしれない。お金に困ってるからなのかもしれない。だけど、そのために子どもが犠牲になるなんてことがあっていいわけないよ。ワタシはこのおじさんの顔を見れなくなってうつむいてしまった。スゴくムッとした気持ちになった。
 でも…、この親だけを責めても始まらないことなんだ。
 ワタシが行ったときのフィリピンは革命があって、20年間フィリピンを支配してたマルコス大統領からアキノ大統領に変わった直後だった。でも、大統領が変わっても苦しい生活を送ってる人は多くて、仕事は少ないし安い賃金で働かされるし、女の子の中には“売春”させられたり、日本まで出稼ぎに行かされたりしている人もいた。そして“砂糖の産地”ネグロス島では、砂糖の値段が急にドーンと下がってしまったために、砂糖農園で働いてる人たちは賃金がもらえなくなり、仕事がなくなって食べ物も買えなくなった。そのために病気や飢餓で死んでいく子どもが何千人にもなっていた。ワタシが行ったスラムでも死んでしまった子どもがいると聞いた。
(略)
 それなのに、世界で一番金持ちといわれて、先進国だ!! なんて息まいちゃってる日本の国の男の人は(女の人でもいるそうだけど)フィリピンや東南アジアに行って女の人(男の人)や子どもをお金で買ったりしている。
 そして、買春している男の人の妻とか恋人とかでも“日本で浮気されるのはイヤだけど知らない所でならイイ”“海外で遊ぶのは仕方ないわね”なんて許してしまっている。
 子どもの誘拐や売買、取引きなんてたいそうな名前が ついてると関係ないと思っちゃうかもしれないけど、日本の大人にも大いに関係ある条文だよね。
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【関連】
  ◇子どもの権利条約(UNICEF)
  ◇子どもの権利条約(日本ユニセフ協会)

 注)これまでの記事は〈タグ「権利条約」〉で
 注2)掲載しているイラストは、日本ユニセフ協会「子どもの権利条約 関連資料」より借用しています。
 《参考》◇「先人に学ぶ」に学んで(リンク集)(2024/09/30)  


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2025年01月29日

「2025」をつくる

 今月初めに、子供達に紹介した「数あそび」を話題にしました。
もんだい0129。
 今年の年号の「7」や「2025」を、1から9までの数字を使ってつくることでした。

 子供や大人から回答をいただきましたが、条件に合った計算(式)に辿り着いた方はいませんでした。
 みなさんは、いかがでしたか。



 この計算(式)を考えるとき、“手当たり次第”に数字と四則を組み合わせても、なかなかうまくいかないでしょう。
 すっと思い付いた方は、天才なのでしょう。

 2025 を見て どんな数なのか考える(気づく)ことから始めてみましょう。
 一の位が 5 なので、“5で割れる5の倍数)”と計算してみると、2025÷5=405 となり、まだ5で割れます。
 405÷5=81 です。81は九九にあり、81=9×9 です。

 ここまで、面倒な計算は電卓に任せればよいですが、“メモを残しておく”ことが大切です。
 「2025=5×5×9×9」となりました。
 もうこれで、計算(式)は見つかったようなものです。
 1から9までの数字を使って、5 と 9 を2つずつ作ることがでいればよいのです。
 5 は、1+4 とか 2+3、9-4 とか 8-3 で作れます。
 9 は、1+8 とか 2+7 で作れます。
 計算(式)を“試行錯誤”すると、ちょっと困ります。
 もう一息、9 も九九にあります。9=3×3 ですから、「2025=3×3×3×3×5×5」がとなって、数が作りやすそうです。
 そして…。



 昨年10月、史上最大の素数が発見されました。今月11日の日経新聞の記事で取り上げられていて、そこに“2025が素数のかけ算に分解できる(素因数分解)”ことも出ていました。
 記事にあるように、
 最大素数の発見に実用的な意味はほとんどない
のでしょう。
 それでも、さらに大きな素数発見への挑戦が続きます。

 数あそびは、正答を見つけることだけでなく、その“面白さ”や“不思議”を楽しんでいきたいと思っています。

*下図は、日経新聞より借用。
素因数分解0129。
最大の素数0129。
  


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2025年01月15日

小正月。 新型コロナ…。 第34条 性的搾取からの保護 (子どもの権利条約)

桜0115。 正月15日は、「小正月」です。
 7日までの松の内を「大正月」と呼び、15日を「小正月」と言います。松の内に忙しく働いた主婦をねぎらう意味で、「女正月」という地方もあります。
 また、正月15日には、「左義長」「どんと焼き」なども“伝統行事”として行われてきました。
 現代の生活では、こうした機会はなくなっているかもしれません。
 あなたの“小正月”はいかがでしたか。



 「国内で初めて新型コロナウイルス感染症が確認された」と伝えられて今日(15日)で5年を迎えました。
 もう5年なのか、まだ5年なのか…。
 日常生活に“制限・規制”はなくなりましたが、感染者の発生は続き、最近は大きく増加しています。
 行動に“制限”はなくとも、手洗い、うがいを習慣とし、咳エチケットやマスク着用の励行で、インフルエンザとともに感染予防に努めていきましょう。
  ◇新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(1例目)(令和2年1月16日 厚生労働省)



 「子どもの権利条約 (児童の権利に関する条約)」第34条「性的搾取からの保護」です。政府訳から
  第34条
 締約国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。このため、締約国は、特に、次のことを防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。
 a. 不法な性的な行為を行うことを児童に対して勧誘し又は強制すること。
 b. 売春又は他の不法な性的な業務において児童を搾取的に使用すること。
 c. わいせつな演技及び物において児童を搾取的に使用すること。

 “子ども発”には、次のようでした。
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   第34条「性的搾取・虐待からの保護」 男の人を見ると、ゲーッとはきたかった頃。
 締約国は、子どもを性的に利用したりいじめたりすることから子どもを守ることを約束します。この目的のため、締約国は、国内や他の国との間で、次のことを防ぐために手をうちます。
 (a) 子どもが法律に違反する性的なことをするように、すすめたり強制したりすること。
 (b) 売春、または他の法律に違反する性的なことを子どもにさせて金もうけに使うこと。
 (c) 子どもにポルノ的なことをさせたり、子どもをポルノ的な題材に使うこと。
 ワタシは男の人を見ると、ゲーッとはきたくなるほど気持ち悪くなった時期があった。中学を卒業して、大学入学資格検定試験の予備校に通い始めたときがピークだった。千葉県の木更津というところから東京の代々木まで毎日、電車で2時間半かけて通っていた(2ヶ月くらいでヤメたんだけど)。駅をあるいていて、父ぐらいの年の人に「お茶でもいっしょに飲みませんか」と腕をつかまれたり、帰りの電車の中で、顔を真つ赤にした酒くさい背広のオヤジが、いやらしい目でどんどん近くにすりよってきたりするのが耐えられなかった。そのうち、電車のつり皮や手すりに直接さわれなくなって、男の人の目を見たくなくなって、男の人の手や服カ少しでも自分に触れるとハンカチでゴシゴシふいたり手を洗ったりするようになった。そんなことをする自分が異常に思えた。でも、いやらしい目でワタシや他の女の人を見る男の人のこともまた異常だと思った。
 男の人たちが自分の性欲の処理のためだかなんだかわかんないけど、女の人をお金で買って(人を買うなんてお金出したってできるもんじやないと思うんだけど)セックスすることは当然のようになってる。ソープランドとかテレクラを知らない人はいないんじゃないかと思うほどだもん。そして、女の人を買うためにワザワザ海外ツアーまでやってる。
 実際に女の人を買わなくても、ポルノ映画っていう、男の人が見るために作られてるとしか思えない映画をほとんどの男の人は見てる。ビデオ屋でもアダルトビデオのコーナーが充実してる所がとっても多い。
 それが、“セックスしたいのは男の本能だ。女の人だってセックスするのを仕事にしてるんだからわりきった付き合いなんだ。今、日本のどこに体を売らなきや生きていけない人がいるんだよ、そんな人いないじやないか!! みんな好きでやってんだ。テレクラなんかに電話してる中学生や高校生だって、おこづかい欲しさに楽しんでやってんだからかまわないんだ”という理由で当然になってる。
第34条0115。
 だけどさあ自分が好きでもない人で、それでもってこの人とセックスしたいと思ったワケでもなくて、なおかつ誰でもいいからセックスしたいって思ってるワケじゃないのにするセックスって、ちっとも楽しくないんじゃないかな。ワタシだったら楽しくないし、むしろエラク苦痛だと思う。それをお金をもらう仕事だからってわりきって考えても、イヤ仕事だからよけいに、セックスしたいそぶりを見せたりしなきゃいけないだろうし、お客を怒らせちゃいけないだろうし、相手を喜ばすタメに喜んだり気持ちいいフリをしなくちゃならないだろう。どんなにキライなタイプでも不潔な男の人だったとしても。
(略)
 そして、普段の毎日の中にあるマンガや雑誌やテレビや映画にも、いつでも女の人のハダカがでてくる。テレビのベッドシーンだっていつも女の人の上に男かおおいかぶさって、女の人はされるがままになってるのに気持ちよがってる。チカンにあってうれしがったり気持ちよくなる女の人の話、強姦されてスゴくこわがっていやがっている女の人がそのうち気持ちよくなっていくという話が、マンガにも小説にも映画にもたくさんある。だから、女の人は強姦願望があると信じてる男の人もけっこういるらしい。そういう男の人は、家の中にどろぼうが入ってきて「静かにしろ」って口をふさがれて縄でしばられて、金目のモノは全部とられて、でもそのどろぼうが最後に「じゃあ、肩でももんであげよう」って肩をもんでくれたら気持ちょくなれちやうのだろうか?
(略)
 そんな状況の中から子どもを守らなくちゃいけない。大人によって「売春」させられたり、ポルノ映画や雑誌に子どもを出演させたりするようなことをなくしていかなくちゃ。この条約はそういってる。でも、大人になってもそういう状況から守ってほしい。

(以下、編集者Bの補足)
 実は、性的搾取や虐待は女だけにとどまらない。電車の中で男の体をさわってくるオッサンというのもチョコチョコいる。男だって痴漢にあうのだ。
 小学校なんかで女の先生がモソモソと男子生徒の体をさわったりって話も聞くし、中学や高校ても、男の先生が男子生徒に耳元に息を吹きかけてくるだの抱きついてくるだのってこともある。特に男子校はそうだ。
 世の中には、少年売買春ってものもちゃんとある。もちろん少女に比べれば数は少ないけれどね。ぼくの知り合いでも、見知らぬオッサンに「3万でホテル行かへんか」と言われた男がいる。
 要するにこういうことってのは、この世に2つの性があるからどう、ということではなくて、社会の中での、あるいはその状況の中での力関係から来とるちゅうことやね。
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【関連】
  ◇子どもの権利条約(UNICEF)
  ◇子どもの権利条約(日本ユニセフ協会)

 注)これまでの記事は〈タグ「権利条約」〉で
 注2)掲載しているイラストは、日本ユニセフ協会「子どもの権利条約 関連資料」より借用しています。
 《参考》◇「先人に学ぶ」に学んで(リンク集)(2024/09/30)  


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2025年01月14日

第33条 麻薬・覚せい剤などからの保護 (子どもの権利条約)

階段0114。 「子どもの権利条約 (児童の権利に関する条約)」第33条「麻薬・覚せい剤などからの保護」です。政府訳から
  第33条
 締約国は、関連する国際条約に定義された麻薬及び向精神薬の不正な使用から児童を保護し並びにこれらの物質の不正な生産及び取引における児童の使用を防止するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置をとる。

 “子ども発”には、次のようでした。
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   第33条「麻薬・向精神薬からの保護」 クスリはとにかく要注意。
 締約国は、麻薬や覚せい剤などを、不法に使うことから子どもを守り、またこうした薬を不法に作ったり売り買いするのに子どもを利用させないようにします。そのため締約国は法律を作ったり政策を立てたり、 社会や教育に関して手を打ちます。

 メデジンカルテルという組織を知っているだろうか。コロンビアのとてつもなくデカい麻薬密輸組織だ。なにしろ自前の軍隊を持っていてその規模が政府軍もかなわないというからオドロキだ。輸出先のアメリカでは、麻薬中毒の患者が後を絶たない。
 麻薬のコワさはTVの刑事ものなニュースなりでよく出てくる通り、中毒になってしまうと、麻薬なしでは生きてゆけなくなつてしまい、“ヤ”の字やマフィアに麻薬で飼い慣らされたりする(「ヤクをくれたら何でもするよお…」というアレだ)。そうやって飼い慣らした人を、また麻薬の売人として利用することで“ヤ”の字やマフィアは莫大な金をもうけている。そして本人の体はあちらこちらが悪くなり、苦しさのためまた麻薬を欲しがり、ドロ沼にはまっていく。
 こんな中で国が麻薬の取引きなり使用なりを取締まれ、というのは当然だし、まして子どもの内に麻薬をやりすぎては一生影響が出たりするだけに、この条約でもそのへんが盛り込まれている。ところが、実はもっと大きな問題がからんでくる。
第33条0114。 メデジンカルテルの本拠地では、子どもたちは口をそろえて「親分はいい人だ」という。“親分”はもうけた金で住宅を整備したり、水道をひいたりし、かなりの数の貧しい子どもを救っている。そこの人たちはメデジンカルテルがなくなってはスラム(貧民街)を歩いて回る生活に戻ってしまう。
 子どもが麻薬の売人に使われるケースにしても、一応そこそこの生活をしている人はそんな世界にそうそう足をつっこまない。家出とか、何かの事情で親から離れたり、親がいても貧しかったりして、精神的にも生活の面でもより所がない子どもたちが、生活のための必要もあって(あるいは、麻薬のこわさを教わる機会がなくて)、のせられやすい。
 国民の数パーセントのお金持ちが国土の何10パーセントを握っているような貧富の差の大きい国では、そんな子どもが集まったスラムがいくつもあって、麻薬を売る側としては絶好の環境なのだ。貧富の差が大きいことが、麻薬の不幸をはびこらせるもとになっている。
 まず政府が、国を支えられるだけの産業を作り、住宅や社会保障を整備したりして貧しさのもとから絶っていかないと、世界の麻薬の問題はなくならない。
 もっとも、貧しくはなくても精神的な不満や好奇心がもとで睡眠薬とかシンナーとか、その他クスリに走ることもある。
 アメリカの小説なんか読むと結構10代の日常の中にコカインが入りこんでたりするし、マジックインキを何時間も続けて使うと最初くさいと思っていたのがそのうち何にも感じなくなって、しまいには平気で鼻に近づけたりするのはよくあることだ。クスリというのは、中毒になってしまうと頭がボーッとするようになつたり、思わぬ副作用が出たりするの
で要注意だ。
 国のチェックも必要な一方で、自分も薬について賢くなっておいた方がいい。
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【関連】
  ◇子どもの権利条約(UNICEF)
  ◇子どもの権利条約(日本ユニセフ協会)

 注)これまでの記事は〈タグ「権利条約」〉で
 注2)掲載しているイラストは、日本ユニセフ協会「子どもの権利条約 関連資料」より借用しています。
 《参考》◇「先人に学ぶ」に学んで(リンク集)(2024/09/30)  
タグ :権利条約


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2025年01月08日

「2025」。 第32条 経済的搾取・有害な労働からの保護 (子どもの権利条約)

夜景0108。 週末に向け、一段と寒くなるようです。寒さ対策、カゼ・インフルエンザ予防をして過ごしましょう。


 先日、子供達に「数あそび」を紹介する機会がありました。
 新しい年になり、そこからのお話です。
 今年は「令和 7 年。そして 2025 年です。
 9つの数字 の1つずつ使って、答えが になる計算、2025 になる計算を考えましょう。
 使える計算は、四則(+、-、×、÷)です。
 低学年は、たし算(+)とひき算(-)で、答えが になる計算を考えましょう。
 計算は、いろいろあります。できるだけ“スマート”あるいは“エレガント”な計算(式)になるまで、考えることを楽しんでくれることを願って紹介しました。
 また、子供自身が“ルール(制限)を広げて”いったらいいなあと思っています。



 「子どもの権利条約 (児童の権利に関する条約)」第2条「差別の禁止」です。政府訳から
  第32条
1. 締約国は、児童が経済的な搾取から保護され及び危険となり若しくは児童の教育の妨げとなり又は児童の健康若しくは身体的、精神的、道徳的若しくは社会的な発達に有害となるおそれのある労働への従事から保護される権利を認める。
2. 締約国は、この条の規定の実施を確保するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。このため、締約国は、他の国際文書の関連規定を考慮して、特に、
 a. 雇用が認められるための1又は2以上の最低年齢を定める。
 b. 労働時間及び労働条件についての適当な規則を定める。
 c. この条の規定の効果的な実施を確保するための適当な罰則その他の制裁を定める。

 “子ども発”には、次のようでした。
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   第32条「経済的搾取・有害な労働からの保護」 バナナは、なんで安いんか?
① 子どもは、労働に見合わない給料で働かされ金もうけに利用されることから守られる権利、危険があり、子どもの教育をじゃましたり、子どもの健康や、身体的・心理的・精神的・道徳的・社会的な発達に良くない危険な仕事をすることからも守られる権利あります。
② 締約国は、この第32条に書いてあることを実行するために、法律を作ったり、政策を立てたり、社会や教育に関して手をうちます。締約国は、この目的のため、他の外国との取り決めの関係ある部分に気を配りながら、とくに次のことをします。
 (a) 雇うことのできる最低の年令を決めること。
 (b) 働く時間や条件について、きまりを作ること。
 (c) この第32条をよく実現するために、違反した人への罰則を決めること。
 唐突やけど、あんた、バナナは好きか。バナナはええよ。うまいもんな。しかも、なんちゅうても安いのがええ。うん、ええよバナナは。
 でも、なんで安いんかね?
第32条0108。 日本でぼくらが食べてるバナナはほとんど東南アジアからの輸入品。農園で働くのは現地の人たちだ。日本みたいな先進国とちがって仕事が少ないから(失業率なん10パーセントとよくTVで出ているだろう)、スズメの涙ほどの給料でもちゃんと働き手がある。おいしい仕事を探したってないからだ。給料だけじゃなく労働時間とか、働く場所の環境とか、そういう他の面おいい加減なままほっとける。結局、雇う方(しかもその国の企業じゃなく、日本やアメリカの商社ってとこがうさんくさい)はボロもうけ。でも労働者の方は「はたらけどはたらけどなおわがくらしらくにならざりじっと手をみる」となる。実際、東南アジアに限らず、第三世界ではそうした重労働のために体をこわしたり精神的にボロボロになったりする子どもがいっぱいいる。
 日本だって昔は似たようなものだった。「ああ野麦峠」という映画を知っているだろうか。たしか主演は大竹しのぶだった(どうでもよいが)。日本がまだ貧しかった明治の頃、「富国強兵」政策により輸出を増やすため、10代の女性たちが低賃金重労働をさせられていたのだ。朝から晩まで全くの働き詰め。もちろん、ぶっ倒れようが死んでしまおうが保障も何もない。まったくの“使い捨て”だった。
 どうして自分の心や体をつぶしてまで子どもが働かなきゃならないのか。なんとか死なずにすんだとしても、心身の傷は一生残る。そんな風に強い者の身勝手がまかり通ってはあきまへん、子どもにはそんだけの権利がありますよ、とこの条文は言っている。
 今の日本では一応これに反することはないとされているけれど、小浜市のお坊さんが「原発では16、7歳の少年が被曝労働をそれと知らずにさせられている」と話していた。見えないところでは日本にもまだ「有害労働」はあるのかもしれない。
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【関連】
  ◇子どもの権利条約(UNICEF)
  ◇子どもの権利条約(日本ユニセフ協会)

 注)これまでの記事は〈タグ「権利条約」〉で
 注2)掲載しているイラストは、日本ユニセフ協会「子どもの権利条約 関連資料」より借用しています。
 《参考》◇「先人に学ぶ」に学んで(リンク集)(2024/09/30)  


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