2025年02月28日

6-09 南部地区の古石塔(2) (作手村誌57)

サクラ0228。 『作手村誌』(1982・昭和57年発行)から「第二編 歴史 - 第二章 中世」-「第十節 古石塔」の紹介です。
 城址に続き、作手地区に残る古石塔についての記録です。
 現在では、記事にある状況とは変わってしまっている場所もありますが、石塔が建てられた当時の“想い”や“願い”を感じながら、作手の歴史を辿っていきたいと思います。
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    第二編 歴史 - 第二章 中世
     第十節 古石塔
(つづき)
  *南部地区の古石塔

〔和田出雲守墓〕 大字保永字エマツ(山林) (図35
 佐宗候計宅裏に2基の宝篋印塔があり、双方の間に「出雲明神」と記された石碑が祭祀されている。出雲明神というのは奥平貞俊の二男貞盛で、貞盛が出雲守貞盛と称したところから、後世、石碑の建立に際し、「出雲明神」と記されたものである。この出雲守貞盛は最初岩波に居住したが、1537(天文6)年石橋館の戦で、亀山城主奥平貞勝を援け、その功により和田城主となった武将である。宝篋印塔は建立以来幾星霜も経過しているにもかかわらず、損傷はほとんどなく、往時の姿をそのまま伝えているかのようで、村内の宝篋印塔のうちでは、保存状態の良い方である。
和田出雲0228。○ 宝篋印塔(2基) いずれも砂岩製で、推定年代は向って右側が室町時代中期、左側が室町時代後期である。右側のものは残念なことに塔身がない。それ以外は損傷が無く保存状態が良い。この塔身の欠落は、このものに限らず村内各所で顕著に見られる。どうしてであろうか。
 総高は70cmで、基礎19cm×23.8cm、笠14cm×26.3cm、相輪37cm×12cmである。
 左側のものも右側同様に塔身が無い。そのうえ相輪の宝珠部分が欠落しており、右側に比較して総体的に小柄である。
 総高は51cm、基礎17cm×19.2cm、笠11cm×24.5cm、相輪23cm×11cm
○ 出雲明神祠(1基) 砂岩製で江戸時代中期以降と推定される。全体的にしっかりしているが、前の柱二本が紛失している。
 総高は4.8cm、基礎10cm×20.5cm、祠の総高38cm、屋がい幅25cmである。


〔黒谷久助墓〕 大字高松字松葉沢30番(山林) (図32
 この墓所について、『旧作手村誌』には、「大字高松北赤羽根黒谷源造氏の宅地の地端山林に…」とあるが、現在は同地には無く、字松葉沢のものを、その墓と称し、松尾大明神として祀っている。久助は奥平氏に仕官として、1573(天正元)年8月21日の打木の戦いで武田勢と激戦の末戦死した。黒谷久助0228。禅源寺過去帳に、「白峰道圭信士 奥平仕官黒谷久介 天正元年八月二十二日」とあり、戦闘の翌日亡くなったことになっている。宝篋印塔、一石五輪塔が馬頭観音などとともに祀られている。
○ 宝篋印塔(3基) 室町時代中期末と江戸初期のもので砂岩製。3基いずれも完全なものは無い。
 総高50cm、基礎21cm×21cm、塔身は無く、笠14cm×26cm、相輪も無く、宝珠15cm×10cmである。他は省略。
○ 一石五輪塔(3基) 砂岩製の室町後期と推定されるもので、2基は完全だがいずれも粗雑である。
 全高51cm×幅20cmである。
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「作手村誌57」〉
 注2)本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値を横書きに改めて表記した箇所、年号に西暦を追記したところがあります。
 注3)古石塔の所在記号が付されたものは、前項の分布図に表記されている箇所です。
《参考》
○ 古石塔とは、古くからある石造りの仏塔や石の塔を指します。
○ 石塔の種類?
  層塔、宝塔、宝篋印塔、五輪塔、板碑、笠塔婆、無縫塔、石幢 など
○ 石塔の建立目的
 仏塔は、仏教の開祖であるお釈迦様のお骨である舎利を納め供養する建物であるストゥーパ(サンスクリット語)に由来するといわれてます。
 


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Posted by ガク爺 at 17:30│Comments(0)作手
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