2025年02月20日

6-06 中部地区の古石塔(5) (作手村誌57)

地蔵尊0220。 『作手村誌』(1982・昭和57年発行)から「第二編 歴史 - 第二章 中世」-「第十節 古石塔」の紹介です。
 城址に続き、作手地区に残る古石塔についての記録です。
 現在では、記事にある状況とは変わってしまっている場所もありますが、石塔が建てられた当時の“想い”や“願い”を感じながら、作手の歴史を辿っていきたいと思います。
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    第二編 歴史 - 第二章 中世
     第十節 古石塔
(つづき)

  *中部地区の古石塔

〔尾藤萬五郎墓〕 大字白鳥字新井(山林) (図33
 尾藤新三郎宅裏にあり、古来より尾藤屋敷といわれている。カヤの老樹の脇に石祠とともに宝篋印塔と一石五輪塔が1基ずつある。萬五郎は亀山城主奥平貞能の家臣で、貞能の命により弘治二年(1556)貞能の一族奥平伝九郎を本宮山の猿ヶ馬場で銃殺したと伝えられる小土豪である。その奥平伝九郎は川合(大字白烏)に居住していたといわれる。ところが「禅源寺旧記」では伝九郎が萬五郎を討ち取ると反対の記述となっていて、いずれが真実であるか明瞭でない。
○ 宝篋印塔(3基) いずれも砂岩製で破損がひどい。このうち2基は室町時代中期と末期、他の1基は江戸初期の造立である。室町中期と江戸初期のものは木造の小祠に尾藤家により祭られているが、全体の調和が不自然で、後世の他のものと混同されたことが明瞭である。
 室町中期と推定のものの総高は54.4cmで、基礎15.5cm×17.2cm、塔身10.4cm×10.4cm、笠11.5cm×20.6cm、相輪17cm×8.5cmである。
 また江戸初期のものの総高は、68.3cmで、基礎16cm賭けう21cm、塔身12.3cm×12.5cm、笠13.5cm×23.5cm、相輪26.5cm×8.6cmである。
 この他に室町時代後期の一石五輪塔が1基と江戸時代初期の一石五輪塔が1基ある。


〔奥平家廟所〕 大字白鳥字北の入り(山林) (図29
 明治維新前までは、慶蔵寺という真言宗の寺があり、その境内の東端にあって、宝篋印塔6基と、一石五輪塔2基がある。現在は禅源寺に併合されているが、同寺の「旧記」によれば、亀山城主奥平貞俊・貞久・貞昌・貞勝・貞能の五代の改葬墓所で、慶蔵寺はこの墓守寺であったと云う。
○ 宝篋印塔(6基) そのうち室町中期末の笠の部分1個、江戸時代初期と考えられる部分5基分で、この内訳は基礎6、塔身2、笠6(残欠4)とまちまちの状態である。推察するに、奥平氏が作手を去ったのち、追悼の意味で建立したものの残骸であろう。その他ここには、江戸初期の一石五輪塔の欠損したものが2基ある。
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「作手村誌57」〉
 注2)本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値を横書きに改めて表記した箇所、年号に西暦を追記したところがあります。
 注3)古石塔の所在記号が付されたものは、前項の分布図に表記されている箇所です。
《参考》
○ 古石塔とは、古くからある石造りの仏塔や石の塔を指します。
○ 石塔の種類?
  層塔、宝塔、宝篋印塔、五輪塔、板碑、笠塔婆、無縫塔、石幢 など
○ 石塔の建立目的
 仏塔は、仏教の開祖であるお釈迦様のお骨である舎利を納め供養する建物であるストゥーパ(サンスクリット語)に由来するといわれてます。
 


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Posted by ガク爺 at 17:30│Comments(0)作手
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