2025年02月08日
『ハイパーたいくつ』(松田いりの・著)
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迷惑系給金泥棒として職場で疎まれている「ペンペン」。鬱屈した毎日がついに限界を迎えたとき、壊れた言葉が壊れた風景を呼び起こす。リリカル系日常破壊小説、爆誕! 第61回文藝賞受賞作。
【日常から退屈を引き剥がすつもりが、なぜか服も人生もすべてボロボロに――】
職場では1000倍の支払いミス。私生活では高額な衣服の買いすぎでクレカ借金。62万円課金したジャケット姿は無様なペンギンに似ているから「ペンペン」呼ばわり。そんな日常がひたすら退屈。
「私は大人になれるだろうか。大人になれなければせめてペンペンとして溺れる姿をみんなに見せなくてはならないのだろうか――」
鬱屈アンド窮屈な現実がついに崩壊するとき、壊れた私の壊れた言葉が、壊れた風景を呼び起こす。
言葉が現実を食い破る、超現実アルティメット文学!
○ 「これは面白い」と感激した。とあって、楽しみな作品です。
○ 恐怖と笑いが同時に腹の底からせり上がってくる。
○ 発狂ぎりぎりで瞼の裏側に現れる万華鏡のよう
○ 読後感は"瀕死"だった。
○ 言葉が勝手に“来る”。その速度と乱暴さが気持ちいい。超、面白いです。
ただ、「リリカル系日常破壊小説」や「アルティメット文学」は、美しいとか優しい、究極といった言葉(単語)でなく、“カタカナ表現”ではイメージがし難く、作品から“笑撃”を受け取れるのか、ちょっと心配しながら読み始めました。
読み進むと、紹介にあった通りに「言葉が勝手に来る」のですが、そのリズムと言葉に乗りきれず、“置いて行かれた”印象でした。
リズムに乗りきれなかったのは、節や章は設けられてなく、年寄りには息継ぎのできないような言葉の攻めだったからでしょうか。
そして、気づけば、話の“あり得なさ”に笑いが込み上げてきていました。
こうした話に、初めて出会いました。
“たいくつ”なあなた、読んでみませんか。
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