2025年02月17日

6-03 中部地区の古石塔(2) (作手村誌57)

ピザ0217。 『作手村誌』(1982・昭和57年発行)から「第二編 歴史 - 第二章 中世」-「第十節 古石塔」の紹介です。
 城址に続き、作手地区に残る古石塔についての記録です。
 現在では、記事にある状況とは変わってしまっている場所もありますが、石塔が建てられた当時の“想い”や“願い”を感じながら、作手の歴史を辿っていきたいと思います。
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    第二編 歴史 - 第二章 中世
     第十節 古石塔
(つづき)
  *中部地区の古石塔

〔御局様の墓〕 大字田原字竹下(山林) (図9
 夏目得夫宅裏山を、約10m上った地点の3.3三平方メートルほどの平地にある。昔から御局様の墓と伝えられるが、いずれの御局様か不明である。10基ほどの五輪塔と宝篋印塔2基があるが、ほとんどが破損状態である中に、1基特別に目を引く立派な積石五輪塔がある。これが御局様の墓と称されているものである。ここの古石塔は全体に新しく、江戸時代初期を遡るとは考えられない。
御局様墓0217。○ 積石五輪塔(6基) ほとんどのものが破損しているが、ひときわ大きくてほぼ完全な形の御局様の墓は次のような規模である。
 総高は84cm、その各部は地輪の高さ24cm×43cm、水輪の高さ20cm×幅33cm、火輪の高さ21cm×下幅41cm、上幅22cm、風輪欠失、空輪の高さ19cm×幅20cmであるが空輪の北側部分が欠損している。硬質砂岩製であるが威容のあるもので、風輪が現存したならば善福寺のものとほぼ同様に立派なものであったであろうと想像される。
○ 一石五輪(3基) このうち1基が破損しているが、他の2基は上品な出来で、これまた善福寺のものと酷似するが年代はやや新しい。
 総高47cm、地輪の高さ11cm×幅13cm、水輪の高さ9cm×幅12cm、火輪の高さ10cm×幅13cm。風輪の高さ8cm×幅10cm、空輪の高さ9cm×幅11cmである。
○ 宝篋印塔(2基) 総体的に古さを感じ、大きなものであったことは相輪の規模からうかがい知れるが、残念なことに全長38cmの相輪と基礎が各一個ずつ残存するだけである。この他にも、同地から20mほど入った地点に山ノ神とともに、室町時代後期の宝篋印塔相輪2基分と、江戸時代初期の宝篋印塔の笠2基分がある。


〔奥平左馬助貞家墓〕 大字田原字円所(山林) (図14
 国道301号線と川尻で分かれ、東田原へ向かう途中の右側山中に老松があり、墓はこの松の根元にある。このことについの禅源寺文書の項は「作手奥平のはじまり」で前述したが、丸山彭著「山家三方衆」の中でもこのことを述べており、奥平氏が大字清岳の亀山城に移る前は川尻城に居城しており、川尻城からは300mほどの近距離でほぼ戌亥の方角にあたる。前記から考察すると、貞俊は父貞家と共に上野国奥平村から来たことになる。
○ 宝篋印塔(1基) 砂岩製の笠のみで室町後期頃の作。笠の高さ10cm、上下とも幅11cmである。
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「作手村誌57」〉
 注2)本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値を横書きに改めて表記した箇所、年号に西暦を追記したところがあります。
 注3)古石塔の所在記号が付されたものは、前項の分布図に表記されている箇所です。
《参考》
○ 古石塔とは、古くからある石造りの仏塔や石の塔を指します。
○ 石塔の種類?
  層塔、宝塔、宝篋印塔、五輪塔、板碑、笠塔婆、無縫塔、石幢 など
○ 石塔の建立目的
 仏塔は、仏教の開祖であるお釈迦様のお骨である舎利を納め供養する建物であるストゥーパ(サンスクリット語)に由来するといわれてます。
 


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Posted by ガク爺 at 17:30│Comments(0)作手
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