2025年02月21日

6-07 中部地区の古石塔(6) (作手村誌57)

公園0221。 『作手村誌』(1982・昭和57年発行)から「第二編 歴史 - 第二章 中世」-「第十節 古石塔」の紹介です。
 城址に続き、作手地区に残る古石塔についての記録です。
 現在では、記事にある状況とは変わってしまっている場所もありますが、石塔が建てられた当時の“想い”や“願い”を感じながら、作手の歴史を辿っていきたいと思います。
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    第二編 歴史 - 第二章 中世
     第十節 古石塔
(つづき)
  *中部地区の古石塔

〔奥平家第二廟所〕 大字白鳥字小田前(山林) (図30
 加藤義孝宅裏山の中腹で、第一廟所との間を国道301号線が走っている。奥平家の室3人の改葬墓所と伝え、現在、積石五輪塔3基の脇に、稲荷大明神・彼岸神・地ノ神などの石祠がある。
奥平0221。○ 積石五輪塔(3基) この地域では比較的に珍らしい花崗岩製で、推定年代は室町後期である。このうち1基は風・空輪がそぐわず、また1基は風・空輪を欠く。そして他の1基も風・空輪を欠く上に火輪も残欠となっている。すべて小型であるが、そのうちから最初の1基の規模を示すと、
 総高は48.2cmを測り、その各部は地輪14.2cm×16.2cm、水輪11cm×17cm、火輪8.7cm×14.8cm、風輪6.3cm×10.8cm、空輪8cm×12.2cmである。


〔奥平弾正祠〕 大字清岳字寺屋敷(墓地) (図22
 慈昌院境内に所在する寺墓地の中心にある。奥平弾正久勝は、亀山城主奥平貞久の二男で、亀山城の西300mほどの所に石橋の館を築き居住していた。(「慈昌院旧記」には、「久勝は貞久の弟」とある)1537(天文6)年9月21日、二代奥平弾正繁昌(戒名繁室慈昌大居士)は、亀山城主奥平貞勝を亡ぼそうとして察知され、一族の和田出雲の急襲を受け、弾正とその郎党45人が誅殺され、のちに里人が難を恐れ、館址に石橋山慈昌院を建立し、奥平弾正祠を建てた。
○ 祠(1基) 花崗岩製で、右側面に「天文六丁酉九月廿一日」とあり、左側面に「奥平弾正宮」とある。しかし、祠の石質・製法などから見て、江戸時代初期末の作と推定され、後世の建立であることは確かである。
 総高は78cm、台座6.5cm×49cm×49cm、塔身33cm×37cm×33.5cm、屋蓋20cm×60cm、宝珠18cm×8.9cmである。


〔奥平出雲守墓〕 大字岩波字池田(山林) (図13
 岩波城主奥平貞寄の墓である。父は和田城主貞盛で、貞寄は1575(天正3)年の長篠合戦で籠城した将士の一人で、墓所は岩波の集落を300mほど下った川沿いの山林中にある。石塚の上に砂岩製の高さ30cmの祠に、「享保九年十月吉日」(1724)と刻され、出雲明神として里人が祀っている。


〔奥平貞久墓〕 大字清岳字六畑(山林) (図26
 亀山城址の東北すそにあり、二代亀山城主である。以前には数基の一石五輪塔があったが、現在は高さ47cmのもの2基しか見当たらない。里人は「六畑地蔵」と呼んでいる。


〔奥平貞久室墓〕 大字清岳字ココメ沢(塚) (図20
 一名姫塚と言われ、武士塚と共に「貞久の勢力…」の項で前述したとおりである。
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「作手村誌57」〉
 注2)本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値を横書きに改めて表記した箇所、年号に西暦を追記したところがあります。
 注3)古石塔の所在記号が付されたものは、前項の分布図に表記されている箇所です。
《参考》
○ 古石塔とは、古くからある石造りの仏塔や石の塔を指します。
○ 石塔の種類?
  層塔、宝塔、宝篋印塔、五輪塔、板碑、笠塔婆、無縫塔、石幢 など
○ 石塔の建立目的
 仏塔は、仏教の開祖であるお釈迦様のお骨である舎利を納め供養する建物であるストゥーパ(サンスクリット語)に由来するといわれてます。
 


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Posted by ガク爺 at 17:30│Comments(0)作手
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