2024年05月01日

八十八夜。 4-10 子供の遊びと植物(6) (作手村誌57)

八十八夜0501。 今日は、雑節の一つ「八十八夜」、立春を1日目と数えて、88日目にあたる日のことです。
 「八十八夜の別れ霜」といわれ、この頃までは遅霜に注意が必要でした。農業を中心とした昔の日本社会で、この頃に種まきや田植えの準備、茶摘みなど春の農作業を行う時期にあたります。

 八十八夜は、「新茶」の時期です。
 お茶の葉は、1年に3~5回の収穫が可能ですが、最初に収穫される「新茶」がもっとも美味しいとされています。甘み、旨み成分であるテアニンが、二番茶以降の3倍以上も含まれているそうです。
 新茶を味わいましたか。



 『作手村誌』(1982・昭和57年発行)から「第一編 第三章 自然と人間のかかわり - 第一節 子供の遊びにみる自然物」の紹介です。
 標高500mの高原、素朴な風土で、そこで培われた文化そして子供達の遊びは、自然とともにありました。
 そのような子供の遊びから“ふるさとの自然”の記録です。
 今に残るものもありますが、社会活動などの変化により、失われたものも少なくありません。“”と比べ、調べながら読み、“これから”を考える参考にしたいと思います。
 そして、これらの遊びを知る大人には、今の子供達に楽しさを伝えていただきたいものです。
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    第三章 自然と人間のかかわり
     第一節 子供の遊びにみる自然物

  *子供の遊びと植物
(つづき)
〔シュンラン〕(ハックリ・ハックリババア・ハックリバアサ・ハックリボウズ・ヤマラン)=日本に自生しているラン科の植物の中で、一番ポピュラーな花で山の至る所で見かけることができる。
 ●わいせつ話〈花〉=ずい柱を男、唇弁を女の陰部に見立て、側がく片を取り除き、ずい柱と唇弁をくっつけたり離したりして遊んだ。この遊びは主に男の子の間で行われた。

〔ツツジ〕 春一番に咲くミツバツツジをはじめ、ヤマツツジ・レンゲツツジ・モチツツジなど種類は豊富で、桜とともに春を告げる代表的な花である。
 ●首飾〈花〉=萼をつけたままの花を糸に通して作る。
 ●勲章〈モチツツジの花〉=モチツツジにはその名の通り粘りがあるので、服などに幾つも付けて遊ぶ。

〔アセビ〕(アセボ・ウジゴロシ) 馬酔木と書き、葉にはアセボトキンが含まれており有毒である。ウジゴロシと呼ばれているのは、この葉が便所のウジを殺すために用いられたからである。人が誤って食べると嘔吐・下痢・皮膚発疹等を起すといわれている。
アセビ0501。 ●花つぶし〈花〉=花を額へ強く打ちつけると「ピチッ」という音がする。良い音がしたか否かによって天気を占った。良い音がすると明日の天気は良く、逆だと悪くなる。子供達は額が真赤になるまで花つぶしを続けた。また夏になるとオニスゲでもこの遊びをした。

〔その他の春の草花遊び〕
 ●ギシギシ…人形(十二単衣)
 ●セキショウ…水車・チョウチン、ゴザ、メハジキ〈葉〉
 ●シンガシラ…ムカデ・魚〈葉〉
 ●ゼンマイ…手まり〈毛〉
 ●ペンペングサ…三味線〈実〉
(つづく)
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 注)これまでの記事は〈タグ「作手村誌57」〉
 注2)本誌の本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値は、本稿では横書きに改めて表記している。



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Posted by ガク爺 at 17:00│Comments(0)作手風俗・歴史
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