2024年08月23日
提言9 山の学校の授業づくり、人づくり(2)
台風10号の進路や影響が気になります。
週明けに“日本列島を直撃”する恐れがあり、今後発達し、27日(火)には中心気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40mと予想されています。
風雨に対する備えを早めにしておきたいと思います。
『現場からの教育改革21の提言』(2007年)から、内容や活動を承知していたり、関わったものを紹介しています。
“二昔も前”の提言に、今の教育、これからの教育に参考となるモノがあると思います。
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提言9 山の学校の授業づくり、人づくり
(つづき)
*同単元同内容の指導場面から
学年の異なる2個学年の子供たちに「同じ教材を使って」指導する。
○上級生の“自分を抑えた”発言
3年のD児、E児の「わからん」に対して、4年のF児は「前のところを読んでみんよ。ちゃんと書いてあるよ」と言う。「できない!」の前の抜けている言葉は、意味を追って読めばわかるよと。「それは、『えんそう』だよ」と教えずに、「自分で見つけなさい」と言っているのである。
ここのF児の動きは、3年に対する上級生4年の「読み取り」の確かさを伝えると同時に、複式なるがゆえの子どもの強さのように思うのである。普通の子供関係なら、ここは「私はえんそう(演奏)だと思います」になる。F児が“えんそう”を言葉に出さないから、すぐ続いてD児は「えんそう?」と自分で気づき、E児も「ほんとだ!」と少し遅れてわかる。F児の確かな読み取りは個人的なもので、どの4年生にもとはいかないが、少なくもここのやり取りは、相手を励ましF児自身をも励ましていく。異学年授業という複式の強みの一つである。
○上級生が教えられて
一つの言葉一つの発言が、相手に新たなものを気づかせ、それがまた自分にかえってくるという点では、少人数はハンディーをもつ。だが、次のような場面は複式では常時起こることであるが、単式の授業では起こりえない。事柄の意味もさほどには見ていない。
『こわれた千の楽器』は、新しい学年になって最初の物語教材である。
4年生にとっては、3年生の基礎漢字学習をすませているので漢字の抵抗は少ないが、2年生をペースとする3年生の負担は大きい。にもかかわらず3年生B児の音読は、音量もあり、その気持ちを込めようとした読み方は、かなりのものであった。4年生にはいい刺激となった。F児は、B児への感想を次のように書いている。
このことは、複式でない子供たちにとって授業の中で体験することはない。日常生活の面では「学年が下でもうまい」というように経験的に理解し、これが普通の社会の姿だとわかっている。これを学級・学年というレンズを通すと、子供たちの視野から消えて自分たちの閉じた社会での見え方だけになる。子供の問題の多くは、ここから始まっている。
その点、複式は、常に異質といえる他学年が同居しており、この方が社会の姿としては普通である。複式のかくれたメリットである。
(つづく)
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注)これまでの記事は〈タグ「教育改革21」〉で
注2)引用した原稿は、その内容を現在に合わせて省略や修正を加えたところがあります。
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週明けに“日本列島を直撃”する恐れがあり、今後発達し、27日(火)には中心気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40mと予想されています。
風雨に対する備えを早めにしておきたいと思います。
『現場からの教育改革21の提言』(2007年)から、内容や活動を承知していたり、関わったものを紹介しています。
“二昔も前”の提言に、今の教育、これからの教育に参考となるモノがあると思います。
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提言9 山の学校の授業づくり、人づくり
(つづき)
*同単元同内容の指導場面から
学年の異なる2個学年の子供たちに「同じ教材を使って」指導する。
学年:A小学校 3年-5名、4年-2名音読中心の教材であるので、特に会話の部分を登場人物の気持ちになって読むように強調した。音読をしてみると、3年生の女子3人(B児・D児・E児)は会話の部分をとてもしっかり音読した。しっかりした声で読むことはできるが、内容の理解はむつかしい。次の記録はそのあたりの様子を伝えている。
教科と教材;国語 4年単元『こわれた千の楽器』
本時の目標;場面の様子や人物の気持ちを想像し、想像したことが聞き手に伝わるように工夫して、声を出して読む
○上級生の“自分を抑えた”発言
3年のD児、E児の「わからん」に対して、4年のF児は「前のところを読んでみんよ。ちゃんと書いてあるよ」と言う。「できない!」の前の抜けている言葉は、意味を追って読めばわかるよと。「それは、『えんそう』だよ」と教えずに、「自分で見つけなさい」と言っているのである。
ここのF児の動きは、3年に対する上級生4年の「読み取り」の確かさを伝えると同時に、複式なるがゆえの子どもの強さのように思うのである。普通の子供関係なら、ここは「私はえんそう(演奏)だと思います」になる。F児が“えんそう”を言葉に出さないから、すぐ続いてD児は「えんそう?」と自分で気づき、E児も「ほんとだ!」と少し遅れてわかる。F児の確かな読み取りは個人的なもので、どの4年生にもとはいかないが、少なくもここのやり取りは、相手を励ましF児自身をも励ましていく。異学年授業という複式の強みの一つである。
○上級生が教えられて
一つの言葉一つの発言が、相手に新たなものを気づかせ、それがまた自分にかえってくるという点では、少人数はハンディーをもつ。だが、次のような場面は複式では常時起こることであるが、単式の授業では起こりえない。事柄の意味もさほどには見ていない。
『こわれた千の楽器』は、新しい学年になって最初の物語教材である。
4年生にとっては、3年生の基礎漢字学習をすませているので漢字の抵抗は少ないが、2年生をペースとする3年生の負担は大きい。にもかかわらず3年生B児の音読は、音量もあり、その気持ちを込めようとした読み方は、かなりのものであった。4年生にはいい刺激となった。F児は、B児への感想を次のように書いている。
Bさんは、会話のところを読むのがすごくうまかった。楽器の気持ちになって読んでいた。わたしもその気持ちになって読みたい。通常の学級ならば、ここは「3年のBさんは」となる。ところが、複式のこの子にとっては、ごく自然に「Bさん」である。つまり、学年が一つ下ということを言う必要がない。もちろん、内心としては「3年」ということを意識しているであろうが、「3年の」は言葉にのってこない。
このことは、複式でない子供たちにとって授業の中で体験することはない。日常生活の面では「学年が下でもうまい」というように経験的に理解し、これが普通の社会の姿だとわかっている。これを学級・学年というレンズを通すと、子供たちの視野から消えて自分たちの閉じた社会での見え方だけになる。子供の問題の多くは、ここから始まっている。
その点、複式は、常に異質といえる他学年が同居しており、この方が社会の姿としては普通である。複式のかくれたメリットである。
(つづく)
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注)これまでの記事は〈タグ「教育改革21」〉で
注2)引用した原稿は、その内容を現在に合わせて省略や修正を加えたところがあります。
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Posted by ガク爺 at 17:00│Comments(0)
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