2017年11月05日

秋祭り

秋祭り1105。 風もなく,柔らかい秋の日差しがさす一日でした。


 今日は,地区の白鳥神社の秋の大祭でした。田舎の小さな社のお祭りです。神輿が区内を巡り,天狗が厄払いをしました。

 全国の白鳥神社は,日本武尊が死後,白鳥になって飛びたって国へ帰る途中で立ち寄ったという伝説につながる話が残っています。
   日本武尊(ヤマトタケル)の話

 大碓(オオウス)命と小碓(オウス)命の双生児がいました。しかし,誤って小碓は大碓を殺してしまいます。そのことに帝は怒り,小碓を熊襲征伐という名目で大和から追放してしまいます。
 熊襲の国ではタケルの宮殿が新しく造られ,各国造の客人で宴がたけなわです。その時,宮殿が闇となり,その一瞬にタケルが殺されます。そして混乱の中で,自分を討った小碓に,自分の名をとりヤマトタケルと強者の魂を授けました。
 大和国に熊襲より帰ったヤマトタケルでしたが,父帝は蝦夷征伐に行けと命じます。ヤマトタケル命は,伊勢の倭姫を訪ね,出発します。
 相模の国造の計略で四方を火に囲まれ,倭姫にもらった火打石と剣で難を逃れます。次に走水の嵐の中で橘弟姫は海に身を踊らせ,海を鎮めます。
 大和への帰りに伊吹山の神の退治に出かけ,病に冒され,能煩野で息を引き取ります。しかし,ヤマトタケルは白い鳥となり,飛び去ったと伝えられています。
 そして,讃岐の国松原村に舞い降りて,白鳥神社として祀られました。

 作手の白鳥神社は,古来,作手高原に白鳥が飛来しており,その白鳥の糞によってお米がたくさんとれるようになりました。このようなことから白鳥への恩恵に感謝して11か所(全国最多)もの白鳥神社が建立されたということです。
「種々の白鳥伝承は,初期農耕における穀霊信仰と,深くかかわりを持っている。稲刈りの終わったころから翌年の春まで,日本列島には多数の渡り鳥が飛来して,大量の糞を水田に残した。( ※渡り鳥は鶴や白鳥やカモ類,昔は湿田だったため冬も水がありました。)
 鳥の糞には窒素,リン酸,カリの三要素をはじめ多くの養分が含まれるため,この糞による水稲の増収効果は著しいものがあった。渡り鳥の多く集まる水田と,集まらない水田の間で,コメの収穫量にも差異がみられたことから,古代農民は,渡り鳥を神の使いあるいは神そのものとして崇めるようになったと想像される。これが白鳥信仰の源流であろう。云々」
(『作手白鳥神社と初期農耕』(芦野泉)より)
 「作手(つくで)」は,今は水田地帯となっていますが,かつては泥炭が堆積した湿地帯であり,湿原の多いところでした。
 地名「作手」の由来として,元々は「津の久手」を意味しており,愛知の地名に多い「久手(湿地)」の一つとも言われます。
 こうした土地の低温や還元条件が,鳥の糞が肥料として大きな役割をもっていたと考えられます。白鳥の飛来していた水田では米の収穫が多く,人々は白鳥に感謝し,それが11か所の白鳥神社となったのでしょう。
 また,作手,岐阜の土岐,七宗,白鳥の各白鳥神社は,直線上に位置しており,これは,古代白鳥が日本海からの線上を往来していたことの表れでしょう。

 こうした直線(ライン)は,他にも京都の福稲,奈良の室生を結ぶライン,富山の黒部,静岡の南伊豆を結ぶライン,石川の津幡,愛知の津具結ぶライン、愛知の岡崎,東郷を結ぶラインなどがあるそうです。それのラインは平行であり,南中線からの傾きが約24度だそうです。
 “古の不思議”を感じ,“古の知恵”を思います。

 現在も,“つくでの米”は,とても美味しいと評判です。
 五穀豊穣に感謝し,氏子の無病息災を祈る一日でした。


タグ :新城市

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Posted by ガク爺 at 18:00│Comments(0)日記
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