2019年06月03日

「中部日本に珍らしい作手村の湿原」(つくで百話)

花0603。 朝は曇っていましたが,徐々に雲が切れ,晴れた日になりました。晴れるとともに,蒸し暑さを感じました。
 “日本の夏”がやってきたようです。


 先日,小学校と相談したことを共育コーディネーター,学校運営協議会長とも相談し,一つの形になりました。
 これからの活動に活かせることができそうです。
 さらにブラッシュアップをして,次に進みたいと思います。よろしくお願いします



 『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)から「村の起原と人物」から紹介です。
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    中部日本に珍らしい作手村の湿原

 作手の湿原について私が始めて発表したのは昭和十二年でありました。当時私は県立刈谷高等女学校で博物科を担当して居りましたが,其の年五月,尾張犬山で愛知県博物研究会が開催され,其の席上でこの湿原と甘泉寺の「こうやまき」のことを紹介発表いたしました。
 「こうやまき」の方は間もなく県の調査に基いて重要天然記念物として認められ,其の後三十三年を経て昭和四十五年三月,漸く国の文化財として指定されるに至りました。
 湿原については,徐々に関心が高まってきましたが昭和二十五年に至って愛知学芸大学の生物科,地学教室などがこれに眼を向け,学生や教授が実地研究のフィールドとして毎年夏になると合宿して賑やかな研究が行なわれました。
 この研究活動は大湿原の壊滅〔耕地として開田〕まで十数年間も続けられ,学界と私たちの村とのつながりも出来,また,それ自体が貴重な諭文資料にも大いに役立ったようでした。
 私たちの住む作手高原は,地質時代第三紀の地殼変勤で隆起しましたが其の後水を湛えて水底に没した地域が所々にありました。しかしこうした所も長い間には,また色々かの変化が起きて,水が退いて,そこに植物が繁茂したり,それがまた再び水底に没したりした事が度々あったようです。
 この様な自然現象を経過した結果現在見られるような泥炭性の湿原が形成されたと考えられます。
 私は犬山の研究会では深い研究もしておらず,ただ日本中部地方としてはこの様な湿原の存在は極めて珍らしい貴重なものとして,ガイドの一役を果したに過ぎませんでした。
 その後二年ほどたって私は東京文理大地学教室に泥炭の一部と特殊植物のサンプルを送ってご指導を仰いだことがあり,また愛知教育に稿を寄せたこともありました。
 学芸大学生物科教室の進出と前後して,東大,京大,千葉大,名大等からの調査研究対象となったことも周知の事実であります。
 既にして今日壊滅をのがれて現存せる僅かな湿原に対しても,地域篤学の士を身近かな研究同好クラブなどの諸賢によって今なほ熱心に研究が進められている現状に対しては私たちはこれを高く評価すべきであろうと思ひます。
  沼気なほ原一面のかきつばた
  涸れ溝に鴫いつくらし冬の月
 泥炭=水底で極めてゆるやかに炭化したもの,主に蘚苔類や草本類の植物繊維が混っている。
    炭化度低く火力弱煙多し。
    奥羽地方ではネツコ,ガス,などと呼ぶ地方もある。北海道,樺太に多い。
 つくで=つくでの語原は湿原につながる。つは水に縁のある語,くては土地低湿で沼などのように水草の生へた地
 湿原の植物=新城高校作手分校教諭権田昭一郎君が著した作手村植物誌・湿原の植物などがある。
  (鈴木 太富)
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パンフレット0603。


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Posted by ガク爺 at 17:15│Comments(0)作手
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