2019年06月06日

芒種。「お盆」(つくで百話)

麦秋0606。 今日は,二十四節気の一つ「芒種」です。稲や麦など芒(のぎ:イネ科植物の果実を包む穎)を持った植物の種をまくころです。
 また,カマキリや蛍が現れ始め,梅の実が黄ばみ始めるころです。

 いよいよ夏本番かと思いますが,明日は雨になり,“梅雨入り”が予報されています。
 予報通りの天気かな…。



 『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「昔の行事」から紹介です。
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    お盆

 昔のお盆は旧暦七月十三日から十六日までいろいろの行事がありました。十三日の夕方には精霊迎への行事がありました。各家の屋敷の入口には高い竹竿の先に松明をつけて迎火としました。お精霊様が,この松明をたよりに帰って来られるといわれております。
 仏壇には灯明をあげたり,線香をたて,精霊料理を供へて,おまつりしました。盆の精霊まつりの献立は,六味の山海料理でザッと次のようなものでした。
十三日(夕)迎団子,麩,茄子煮
十四日(朝)わかめ豆腐汁,(昼),餅または牡丹餅,(夕)ひゆう菜またはささげ味噌あえ
十五日(朝)かゆ,(昼)そうめんまたはうどん,(夕)かぼちゃ煮
十六日(朝)人参,里芋,牛蒡,送だんご
 毎食毎に瓜の酢もみや漬ものとご飯をつけました。
 箸は麻殼の乾燥したものを六センチくらいに折ってつくりました。ご飯はかわらけに,お菜は小皿にもって,仏様の数だけ,お膳にならべ仏壇に供えました。仏前には茄子と瓜におがらを脚とした牛と馬をつくって供えておきました。この牛,馬のところにも,食事の度毎に料理を供え,精霊様がお帰りになるときに,お弁当として,牛馬の背につけて,お供をすることにいたしました。
 精霊送りの時には,それまでのご馳走のほかに,ささげ,ねぶき(里芋の茎葉つき)さんしょうの小枝などを蓮の葉にのせてお弁当をつくりお送りしました。家によっては焼味噌をつけることもありました。
 お精霊様をお送りするのは,十五日の夜半過ぎから,十六日の早朝でした。お送りする時がおくれると,お精霊が,極楽世界の集りに遅刻されるからといって,早目にお送りすることにしていました。精霊送りには,その家の主人が先頭に立って,家族がつづき,提灯に灯をつけ,線香,松明をもって,鐘をたたきながら,大川端まで送って,ここで,般若心経や念仏を唱えながら,大川に流して精霊送りを終わるのでした。
 新仏を迎える家では,初盆の行事がありました。親戚,知人や村の人たちから贈られた灯籠や提灯が賑々しく座敷に飾られ点灯されました。また屋敷の入口には百八個の松明が炎々と燃えさかる中で,念仏をあげました。十四日と十五日の晩には,村の若い衆たちによって盆踊りが踊られました。一同が輪になって,回りながら踊る手踊りにつづいて,勇壮な放下踊りもやりました。大念仏と書いた大団扇を背負って,汗みどろになった若い衆が,勇ましい太鼓や哀調をおびた笛や鐘のリズムにのって踊りつづけるのでした。
 頃合いをみて,新仏の家で接待の料理や酒が運ばれ,さえわたる月光をあびて,ざわめきの中に,盆のたのしみを満喫するのでありました。
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 みなさんのお宅では,どのように“盆”を過ごしますか。

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Posted by ガク爺 at 17:00│Comments(0)日記作手
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