2019年08月31日

『負けるな、届け!』(こかじさら・著)

新幹線0831。 今日は,気持ちのよい風が吹く“秋の日”でした。
 当地は心地よく過ごせましたが,不安定な天候で“大雨”の地域もあったようです。被災地の復旧とともに,新たな被害が起きないことを願います。



 「いい話の図書館」で届いた図書です。
 表紙に描かれた3名が,「GO」「ガンバレ」を掲げて“大きな声”で声援しいます。その声援にタイトルの文字が踊っているように見える『負けるな、届け!』(双葉文庫)です。

 「ポチッ!」と,主人公 小野寺かすみがフランスのボルドー郊外で行われる「メドック・マラソン」に申し込みをした場面から物語が始まります。
 マラソンを続けてきたわけでも,特別な思い入れがあるわけでも,ないのに…。
 25年勤続にもかかわらずいきなりリストラされてしまったのに…。

 友人に誘われ東京マラソンの応援にいき,
「だから何なの…」という言葉はのみ込んだ。
「走りたくても走れない人が九割なのよ。もしかしたら,宝くじに当たるよりたいへんかも?」
「三十万人…。マラソンに参加したい人って,そんなにいるものなの?」
 まず,そう安くない参加費を支払ってまで,42.195キロを走りたいという酔狂な人がそんなにいること自体,私には信じられなかった。
と思っていたのに,友人 高橋の“綿密な応援計画”に沿って応援をして,
 確かに楽しかった。愉快な一日だった。
 42.195キロという距離の魅力と全力応援の面白さを,その日,私は高橋さんと一緒に満喫した。六分のペースで走り続けた川内さんもお見事だけど,高橋さんの応援が何しろ天晴れだった。こんな最強の女ともだちがいれば。どんなにしんどいときも何とかなる。
スイッチが入ってしまったようです。

 高橋夏子さん,島崎あかりさん,平山貴子さん,亀山千秋さん,渡辺雄太郎さんと大樹くん,そして,柳沢…。
 それぞれが,その人生を,それぞれに歩んでいます。
 それが“マラソン”を通して描かれ,その“応援”に込められます。

 落ち込んでいた自分が,メドック・マラソン(フルマラソン)を完走し,そしてマラソンを通してより絆が深まった仲間の存在に気付き,前向きな気持ちを取り戻します。
「千秋を団長とする最強の応援団!」
「確かに,お互い最強の応援団長かも」
「でしょ。最強のエールを送り合える仲間がいるって,最高にしあわせだよね」
 潮風に吹かれながら私は思った。
 人生は走り続けなければわからないことだらけだと。
 だから,人は走り続けるのだと。
 「人を応援すること」を通し人生を見つめ直していく連作短篇集です。
 本書から応援を受け,元気が出てきます。
 そして,誰かに“応援”を伝えたくなる一冊です。



【関連】
  ◇東京マラソン
  ◇Site officiel du Marathon des Châteaux du Médoc(メドック・マラソン)



「いい話の図書館」 これまでに紹介した本
  ◇『気象予報士のテラさんと、ぶち猫のテル』(志賀内泰弘・著)(2019/08/18)
  ◇『本のエンドロール』(安藤祐介・著)(2019/08/10)
  ◇『Life(ライフ)』(くすのきしげのり・作/松本春野・絵)(2019/06/30)
  ◇『勇者たちへの伝言』(増山実・著)(2019/05/29)
  ◇『スタートライン』(喜多川泰・著)(2019/05/22)
  ◇『眠る前5分で読める 心がスーッと軽くなるいい話』(志賀内泰弘・著)(2019/04/10)

「いい話の図書館」とは…本との出逢いは,人生を変えます。辛い時,悲しい時,一冊の本が「生きる希望」を授けてくれます。
 そこで,ステキな本との出会いを提供する「いい話の図書館」を全国津々浦々に作ったら,どんなに素晴らしいだろうと考えて館主を募集しております。「いい話の図書館」の館主のお仕事は,本棚にステキな本を並べて多くの人に自由に読んでいただくこと。そのステキな本は,テレビをはじめ,マスコミでも話題の小林書店のカリスマ店主,小林由美子さんが心を込めて推薦する本です。

  ◇いい話の図書館【申込】
  ◇小林書店さん (@cobasho.ai)(Instagram写真と動画)
  ◇志賀内 泰弘(Facebook)



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Posted by ガク爺 at 17:30│Comments(0)読書
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