2022年12月03日

モーニング情報交流会。 『なぜ日本語はなくなってはいけないのか』(齋藤孝・著)

富士山1203。 天気のよい日になりました。朝は冷え込みましたが、日中は暖かさも感じることができました。


 午前中、モーニング情報交流会(オンライン)がありました。都合があり、出先に向かう移動中に“耳だけ参加”でした。
 「今、考えておきたい教育について、全国の皆さんで気軽に交流しましょう。」と、玉置崇氏と山田貞二氏が主催して始まった情報交流会で、4回目です。

 今日は「教職員を育てていますか?」をテーマに、二人の校長先生から情報提供があり、ブレイクルームでの情報交換、その後に全体で情報交流でした。
 三塾、1対1ミーティング、三感、リーダーシップ像…
 運転中でプレゼン画面は見られませんでしたが、“教員を…、集団を…、職員を…、地域を…、”どのような働きかけ、組織で育てていくのか、熱意が伝わる取組み、各地の情報を知ることができました。
 ありがとうございました

 次回、第5回(本年度最終)は 2月4日(土)、「ICT活用の格差を感じませんか?」です。あなたも、いかがですか。

モーニング情報交流会(オンライン)の予定】
☆オンライン 9時30分~11時までZOOMにて
 ◇第1回 5月22日(日) 「働き方改革、どうしていますか?」
   情報提供 中村友希県教委課長
 ◇第2回 7月16日(土)  「学習評価はどうしていますか?」
   情報提供 田中雅也校長、森万喜子校長
 ◇第3回 9月10日(土)  「学校と地域の連携は進んでいますか?」
   情報提供 池原鉄県教委指導主事、平林哲也元校長
 ◇第4回 12月3日(土)  「教職員を育てていますか?」
   情報提供 桐淵則之校長、平河力校長
 ◇第5回 2月4日(土)  「ICT活用の格差を感じませんか?」 
   情報提供 水谷年孝校長、前田浩志教頭



 言葉、日本語、国語、言語などが“気になって”、それを話題にした記事や図書を目にします。
 日本語に関する著作の多い齋藤氏の『なぜ日本語はなくなってはいけないのか』(草思社・刊)です。
 出版社は、
 長年、日本語教育に心血を注いできた著者が、満を持して世に問う「日本語論」!
 日本語が置かれた現状に警鐘を鳴らすとともに、ではどうすれば日本語を守ることができるのか、見事な日本語の実例を豊富に挙げながら論じる。
と紹介しています。

 齋藤氏は、『「日本語は意識的に守らなければ継承できない」という強い危機感』を持ってみえ、本書では、その“意識的”に守る意味と、“継承”の取組み・活動が述べられています。
 著者が日本語について述べていますが、そこに他者の“文章”をルビ付きで引用し、それを論拠や説明にしています。その文章を“声に出して読む”ことで、内容理解が深まるような気がします。


 最初に、“言語を失う”ことの意味や出来事を、そのなかで“日本語(文章)”を引用し、具体的に述べています。
 第二章で、古文や漢文について
 「古文や漢文はオワコン」と聞いて、私は憤慨するのではなく、思わず笑ってしまいました。つい面白いと思ってしまったのです。
 確かに、もう現代では使われていない言葉が古文なのですから、オワコンというのは指摘の通りです。
と始めて、その美しさ、文化を伝えています。
 そして、“文語体”が、日本語の骨格、背骨としての価値は、今でも失われていないと言います。
 身体文化そして精神文化、語彙力など、“その言葉”の世界を感じます。


 著者が鳴らす警鐘を受け取り、第四章の「どうすればいいのか」を行動していきたいと思います。
 子供や若者そして保護者のみなさんに、お薦めしたい一冊です。
 まず、名文を味わうことから始めてみませんか。



 読書メモより
○ 実際には、こうして私たちは当たり前のように日本語を使っていますが、日本語が絶滅するシナリオもありえたわけです。/母語を奪われるとはどういうことか。その悲しみを描いた物語の中に「最後の授業」という有名な短編小説があります。
○ 近年は『ゴールデンカムイ』という漫画作品が大ヒットしました。
○ 『平家物語』の美しい言葉の響きを知ることもなく、英語を習得しなければならないというプレッシャーを抱えながら生きていく人生のほうが本当に素晴らしいと言い切れるのでしょうか。
○ どストレートな歌詞では日本語の奥行きが出ません。「いつもそばにいるよ」「愛しているよ」では、すべてが単純化してしまいます。
○ 同様に、文語体をそのまま使わなくても、文語体を知って身に付けておけば日本語の基礎が盤石になります。文語体は「型」です。
○ 方言にはその土地土地の風土を伝える味わいがあります。方言はその土地の人格を象徴しています。
○ 漢字が教えられていないという大問題
○ 言葉と事実の認識力には深い関係があります。
○ 日本語は共感の言葉であるというのです。
○ 本当は「雨が降っている」という「こと」が先にあるのではないか、というのが「こと的な世界観」です。
○ もともと子どもは『平家物語』の現代語訳より原文の日本語のほうが優れていると認識する感性を持っています。ところが、現実には日本の子どもたちは古文を味わう機会を失っています。
○ 高田さんは一調・二機・三声を「」であると読み解いています。
文学の教養は、世の中の出来事について奥行きのある解釈を可能にします。目の前の出来事について、表層的に受け止めるのではなく、重層的に受け止められるということです。
母国語で精度の高い表現ができれば、世界的に評価されるというのは、古今東西の文豪の作品を見ても一目瞭然です。

   目次

はじめに
第一章 努力しなければ日本語は守れない
第二章 日本の精神文化が失われつつある
第三章 日本語はなぜ貴重なのか──その特徴と魅力
第四章 日本語を守るためにはどうすればいいのか
おわりに


【参考;これまで紹介した齋藤孝氏の図書】
  ◇『田中角栄 人を動かす話し方の極意』(齋藤孝・著)(2017/02/07 集団「Emication」)
  ◇『こども「学問のすすめ」』(齋藤孝・著)(2017/12/05 集団「Emication」)
  ◇『読書する人だけがたどり着ける場所』(齋藤孝・著)(2019/04/15 集団「Emication」)
  ◇『こども論語とそろばん』(齋藤孝・著)(2019/10/21 集団「Emication」)
  ◇『なぜ本を踏んではいけないのか』(齋藤孝・著)(2020/04/05 集団「Emication」)
  ◇『本には読む順番がある』(齋藤孝・著)(2021/04/03 集団「Emication」)
  ◇『学校のひみつ』(齋藤孝・著)(2021/05/21 集団「Emication」)
  ◇『10歳のミッション』(齋藤孝・著)(2022/01/03 集団「Emication)
  ◇『ヤワな大人にならない! 生きかたルールブック』(齋藤孝・監修/林ユミ・絵)(2022/06/22 集団「Emication」)
  ◇『齋藤孝が読む カーネギー『道は開ける』』(齋藤孝・著)(2022/08/28 集団「Emication」)
  ◇『孤独を生きる』(齋藤孝・著)(2022/11/09 集団「Emication」)


タグ :読書研究会

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Posted by ガク爺 at 17:00│Comments(0)読書教育
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