2019年09月12日

これからの教育は…。『彦坊の山姥』(つくで百話)

花0912。 夏から秋へと,大気が前線の南下で入れ替わり,気温は上がっても湿度が低く,過ごしやすい一日でした。
 明日(13日)は「中秋の名月」です。美しい月が見られる天候になってほしいですね。



 今日読んだネット記事の中
 国の調査によると、小中学校のプールの数は2015年度に2万1536。約20年前の4分の3で、学校数の減少を上回るペースで減っている。
との記述がありました。
 近隣の豊橋市や蒲郡市が試験的に導入している“水泳授業の民間委託”のような取り組みで,老朽化したプールを廃止して学校プールの維持費削減や教諭の負担軽減につなげようという動きが進んでいるからのようです。

 古い話ですが,教育行政に関わっていた頃に検討したことの一つです。教師が“教育”を担いますが,その施設や技能指導は,必ずしも学校である必要はないと思います。
 その一つがプールという施設です。他にも,音楽の楽器なども,その所有(管理)や技能指導は学校や教員でなくてもできます。技術科でも家庭科でも,その分野は少なくありません。

 記事で紹介されている
少子化が進み、財政が厳しくなる中、学校は全ての施設を備えている必要があるのか。学校だけでなく、自治体全体で考えないといけない
の言葉の通り,学校だけの話ではなく「これからの○○市は…」と子育てや行政のあり方を考え,示すなかで行動が始まるものだと思います。
 そのスピード感がある自治体が…。
 さて,当市は…。



 『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「山に因んだ話」から紹介です。
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    彦坊の山姥

 彦坊山は,大和田の部落から五キロメートルも離れた深山でございます。いくつかの洞をかかえている大山ですが昔は原始林が空をおおっていて昼なお暗い,物凄い森林でもありました。彦坊山の中に暗がりの洞という所があります。文字通り,昼でも暗いまでに大木が繁茂しておりましたが,いろいろの動物も棲みついていて,獲物も多かったので,猟師には,よだれのでる程の猟場でありましたから獲ものを追って,この暗がりの洞にはいって道に迷うものも時々ありました。
 ある日,一人の猟師が,暗がりの洞へはいり込みました。相憎の曇り空でしたから,太陽で方角を判断することができませんでした。あちこち道を探し歩いている中に,短い冬の日は,とっぷりと暮れてしまいました。仕方がないので野宿覚悟で,ちょっと小高い尾根らしいところの大木の根元に腰をおろして,鉄砲を抱きかかえて,居眠りをはじめました。ふと前方に眼をやると,小さい灯が見えました。何の気なしにいたが,こんなとこにも炭焼の小屋があったのかと思うと,疲れも忘れて,その灯をたよりに歩るき出しました。暗闇の中を岩や木の根につまづきながら,歩いていくと,漸く一軒の山小屋がありました。
 「今晩は」と声をかけて,入口の重れ筵を押して,小屋の中をのぞくと,一人の老婆が囲炉裡のそぱで,糸車を回しておりました。
 猟師は,山道に迷って,帰られなくなって困っているから,一夜の宿をと頼みますと,静かに,同意のしぐさをみせてくれましたから,囲炉裡端に上がりこんで暖をとることになりました。老婆は,上品な,しっかりした顔をしておりましたが,滅多に口をききません。猟師は,何だか恐ろしくなりました。ひょっとすると狐か狸の化身かと思うと身慄いを覚える程になりましたが,今さら,外へ出てを行く先のあてもないし,万一の時には,鉄砲があるからと,勇気を出して,囲炉裡端で夜を明かすことになりました。
 物の化の老婆が,すきをみて,とりかかってくるようなことでもあっては大変と思うと睡気も疲れもどこかへ,すっとんでしまいました。長い一夜がすぎて,東の方の空が,白みがかるのを待って,猟師は,老婆にお礼をいって,早々に,この小屋を抜け出しました。その後,この猟師も,この小屋を訪ねたこともなく,その夜の老婆が,世をしのぶ落人であったか,狐狸の化ものであったか判らないままに世はうつり人も代ってしまいました。
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【「つくでの昔ばなし」掲載】
  ◇「彦坊山の山姥(やまんば)」

注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話」〉で



【関連】
  ◇老朽化の波、消えゆく学校プール 授業は民間施設で(朝日デジタル)
  ◇学校の水泳指導の委託事業 コナミスポーツが全国展開へ(教育新聞)
  ◇コナミスポーツクラブ蒲郡



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Posted by ガク爺 at 17:20│Comments(0)教育作手
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