2018年10月29日
古くて新しい『いかにして問題をとくか』

ただし,日差しがあっても気温が上がらず,吹く風に“冷たさ”を感じます。
紅葉の美しさを味わう頃です。
「数学の本」で有名なものの一つに,G・ポリアの『いかにして問題をとくか
大学生のとき薦められて読みました。今も,「昭和29年発行」で「昭和61年の第11版第12刷」のもが手元にあります。
小さい活字がびっしりと並び,印刷も今のように鮮明ではなく,見た目で「難しそう」という印象を与える本ですが,「問題解決」について述べており,今もポリアの考えが引き継がれています。
本書の中に,「問題をとくための4つのステップ」があげられています。
○第1に「問題を理解すること」いかがでしょう。このステップに似た話を聞いたり,手順を指導されたことがあるのではないでしょうか。
・未知のものは何か? 与えられているもの(データ)は何か? 条件は何か?
・条件を満足させうるか? 条件は未知のものを定めるのに十分であるか?
・図をかけ。適当な記号を導入せよ。
など
○第2に「計画をたてること」
・前にそれをみたことがないか? 同じ問題を少しちがった形でみたことがあるか?
・似た問題を知っているか? 役に立つ定理を知っているか?
・似た問題で既に解いたことのある問題がここにある。それを使うことができないか?
・問題をいいかえることができるか? それを違った言い方をすることができないか?
・データをすべて使ったか? 条件のすべてを使ったか?
など
○第3に「計画を実行すること」
・解答の計画を実行するときに,各段階を検討せよ。その段階が正しいことをはっきりとみとめられるか?
など
○第4に「振り返ってみること」
・結果をためすことができるか? 議論をためすことができるか?
・結果をちがった仕方で導くことができるか?
・他に問題にその結果や方法を応用することができるか?
など
今でも手に入りますが,「読み切るには,かなりエネルギーがいる」と思います。
帯に「ポリア『いか問』を読んで挫折した人へ」「これからポリアを読もうとしている人へ」と書いて2012年に発刊された『いかにして問題をとくか・実践活用編
ポリアの本を読まれた方々が,どのように楽しみ,生活に活かしていかれたか分かりませんが,芳沢氏の「実践活用編」は,数学的思考法が日常やビジネスの問題解決にどのように活用できるのか述べています。
「ドミノ倒しでわかる帰納法」「日経平均とTOPIXの違い」「地図の説明で注意すべきこと」「予想屋さんの確率」「4桁の数字に現れる人間の癖」など,具体的な事例を使って,分かりやすい言葉で読者に語りかけてきます。
また,『「難しい問題」ほど「ざっくり考える」が勝ち』『「いか問」ポリアの教えも交えた“数学知識まったく不要"の竹内流・問題解決思考法』と,竹内薫氏の『数学×思考=ざっくりと いかにして問題をとくか
ポリアの発想法にヒントを得て,どんな読者でもよく理解できるよう,平易な語り口で日常生活や仕事上の問題を解決する方法を述べています。
今抱えている「問題」を,それぞれの本に“解法”を探っていかがですか。
また,G・ポリアの著作と見比べながら読むことも,楽しみ方の一つだと思います。
「ものの見方・考え方」を楽しみましょう。