2020年12月25日

昔の炭焼(4) (つくで百話 最終篇)

ケーキ1225。 今朝は厳しい冷え込みはありませんでした。
 天気のよい日だと思っていましたが,雪混じりの雨が降っていました。気温は低かったですが,日陰にあった雪も雨で溶けたようです。

 写真のケーキは,先週の「クリスマスフェスタ2020」のイベントで作っていたものです。家族で美味しく味わったことでしょう。
 年末に向け,寒さが増してくるようです。暖かくして過ごしましょう。



 『つくで百話 最終篇』(1975・昭和50年7月 発行)の「民族と伝承」の項からです。
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    昔の炭焼   遠山義一

(つづき)
 ネラシができた炭(窯口に近い方の)から「いぶり」で窯の外に掻き出して「スベ」(灰と砂を混ぜて水で湿したもの)をかけて火を消します。こうして出来た炭を白炭と言いました。これは堅いから堅炭とも言いました。
 「スペ」は,消し粉または素灰ともいい,土と粉炭を混ぜてつくり,何回もくり返すほど良質のものとなりました。
 時代の流れとともに,白炭に代って黒炭が次第に多くつくられるようになりました。これは,燃焼が終ると,空気穴やフドを密閉して空気を遮断し,窯の中で消火する方法で,現在最も多く採用されております。
 こうしてつくられた炭は,表面が黒いので黒炭といいます。また,白炭よりも軟かいので,軟炭とも呼んでいます。
 黒炭の窯は,二十俵から五十俵も出るぽど大きくなりましたし,原木を窯の中へ入れて出炭するまでに一週間から十日もかかり,中には,月二回出炭というものもありました。窯は土でつくったので,土窯炭ともいいました。
 木炭の品質は,製炭技術とともに原木の種類や良否によって左右されるのもやむを得ませんでした。栗・椎・キハダ・シナ・ヤマウルシなどの原木からつくられたものは並等品で,中白・中黒などと呼ばれました。
炭焼き1225。 右の種類の原木以外の雑木類でつくられたものは,上白・上白一本撰・浅上一本撰などと撰別せられ,長さ五寸(約一五センチ)に切り,一本一本撰んで俵に入れたものを一本撰といいました。櫟・楢などは優良品で,樫上の一本撰は最高品でした。
 木炭の販売  作手の南部方面で出来た炭は,多くは女子衆が背負ったり,馬につけて新城の問屋ヘ運びました。中部・北部方面のは,田原の炭屋へ運ばれました。大勢の女房どもが,列をつくってがやがやしゃべりながらの炭運びは,中々の壮観でした。問屋では,すぐに現金で勘定してくれましたので,昧噌・醤油・塩・反物などの日用品を買って帰るのでした。また,主人のためにドブロクの一升徳利を仕入れたり,子供のために飴玉を買うなどの微笑ましい風景もみうけられました。

(つづく)
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Posted by ガク爺 at 17:00Comments(0)作手