2019年07月13日

『絵師の魂 渓斎英泉』(増田晶文・著)

向日葵0713。 今日は,お祝いの一日でした。
 “幸せのお裾分け”です。

 ありがとうございました



 図書室の書架に並ぶ表紙から「江戸の町人の話…。」と手に取った『絵師の魂 渓斎英泉』(草思社・刊)です。
 “絵師”は浮世絵師のことでしょうし,名を「渓斎英泉」というのだと思います。

 渓斎英泉は,初めて聞く名です。
 絵師(浮世絵師)を支える版元かもしれません。昨年読んだ『蔦屋』(谷津矢車・著)(2018/10/12)の蔦屋重三郎を思い浮かびました。

 読むと,葛飾北斎を師と仰ぎ,美人の大首絵で名を馳せ,風景画,人情本挿絵,春本などを描いた“有名絵師”のようです。
 作品を検索してみると,「当世好物八契三味線)」に覚えがありました。作品と名が結びついてなかったようです。
 巨星・葛飾北斎を師と仰ぎ、千数百点もの美人画春画を描きつづけた浮世絵師・英泉の波乱に満ちた生涯!

 文化文政時代、千数百点にもおよぶ独特の妖艶な美人画・春画を残した浮世絵師・渓斎英泉。
 若くして葛飾北斎に私淑し、またその北斎に支えられつつ美人画・春画で一世を風靡、曲亭馬琴にも気に入られ『南総里見八犬伝』の挿絵を描く等の大成功にもかかわらず、絵筆を措いて女郎屋の主人に収まったりと波乱に富んだ人生を送っている。
 これまでは好色放蕩無頼の人物としてとらえられてきた英泉だが、本作では「絵」に賭ける果てなき渇望を持ち続けた真摯な人物としてまったく新しい英泉像が活き活きと描かれている。書き下ろし時代小説。

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 “渓斎英泉”が分からぬままに読み始めると,新しい錦絵の届いた本屋の前に「小男」と「長身の痩せた男」が現れます。
 この二人を主人の目から,
 主人はあからさまに不振の表情となる。
「なんですか,あなたたちは?」 この小男,水牛の角から削りだしたものか (略)
 ちび眼鏡はニヤニヤ顔になった。長身の色男は明らかに当惑し「もうよせ」とでもいうように眼鏡の袖を引いている。
と2ページに渡って描きます。
 数行でもすみそうな店頭のやりとりが,ていねい(?)に綴られます。
 “筆力”に引き込まれ,ここで描かれる「渓斎英泉」に興味がわきました

 英泉の家族と生活,北斎との出会いと交流,仕事…
 「ベロ藍」を追い求め,こだわる英泉…
 その先に…

 渓斎英泉と一緒に“江戸の世”を歩んでみませんか。


   目次

第一章 前夜
第二章 美人画
第三章 裏の絵師
第四章 世間
第五章 暗雲
第六章 災厄
第七章 青の時代
第八章 絵師の魂
終章 富士越龍
あとがき


【関連】
  ◇増田晶文 (@showbun)(Twitter)


タグ :読書

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Posted by ガク爺 at 19:30│Comments(0)読書
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