2023年05月04日
みどりの日。 『ワンダーランドに卒業はない』(中島京子・著)

「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」とする日です。
当地の木々は、新緑が美しく輝いています。この美しさを愛でる日(時期)です。あなたは、そんな一日でしたか。
表紙に「こどものみらい叢書」のロゴがあり、目次を見ると“さまざまな書名”がありました。著者の中島氏は初めてで、作品を読んだことはありませんでしたが、
“こどものみらい”に向け、読んでみたい本、読ませたい本の魅力を伝える内容だろう…と思って(予想して)手にした『ワンダーランドに卒業はない』(こどものみらい叢書/世界思想社・刊)です。
本書は、小説家 中島京子氏のエッセイでした。
空想が日常の子ども時代、だれもが異世界へと旅する時間を持つ。物語に没頭する喜びは、ずっとあなたを支えてくれる。本を開いて、自分の中の子どもに会いにいこう。子供の頃に読んだ児童書を読み返し、それにまつわる“物語”が綴られていました。
『プーさん』ほどに、完璧に、あの特別な時間と空間を、しっかりと閉じ込めた本はない。この本が世に出てから、まもなく百年が経とうとしているけれど、あいも変わらず子どもの心をとらえて離さないのも、大人にとってもことあるごとに読み返したくなるのも、『プーさん』の世界がホンモノで、そしてそれがわたしたちにとってたいせつなものであるからにほかならない。
『クマのプーさん』から『ゲド戦記』まで――作家を育てた18の物語。
子供の頃、忘れないようにと言われ、「ぶんぶん頭を振ってうなずいて、ちかった。忘れませんとも!」と言い、思っていたのに、
そして、大人になって、だいぶ、忘れた。その“大人”が、児童書にを読み、
子どもの時間を思い出しただけではなくて、大人になった今、書いてみようという気持ちを起こさせた十八作でもある。のです。
あなたも、子供の頃に読んだ本を読み直し、その思い出を、そして今を描いてみませか。
目次
まえがき
1 プーの森で、ことばと遊ぶ
2 銀河ステーションから、めくるめく幻想世界へ
――宮沢賢治『銀河鉄道の夜』3 二人がそれぞれ、親友のためにやったこと
――エーリヒ・ケストナー『点子ちゃんとアントン』4 物語に没頭する、圧倒的な幸福感
――ロバート・ルイス・スティーヴンソン『宝島』5 教訓を見いだそうとする者は追放されるだろう
6 植物とコミュニケートする農系女子
――フランシス・ホジソン・バーネット『秘密の花園』7 ワンダーランドは卒業を許さない
――ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』8 「衣装だんす」で、ファンタジーと出会う
――C・S・ルイス『ライオンと魔女』9 コロボックルはわたしたちの先生なのだ
――佐藤さとる『だれも知らない小さな国』10 愛があれば。愛さえあれば。どんなに世界が苛酷でも。
――カルロ・コッローディ『ピノッキオの冒険』11 才能ある女の子の行く末は
12 ウェンディの哀しみ
――J・M・バリー『ピーター・パンとウェンディ』13 「不要不急」と灰色の男たち
――ミヒャエル・エンデ『モモ』14 人間が想像できることは、必ず人間が実現できる
――J・ベルヌ『二年間の休暇』15 反省、赦し、和解こそが、知恵である
――ルーネル・ヨンソン『小さなバイキングビッケ』16 落語の世界に通じる『ラッグルス家』の物語
――イーヴ・ガーネット『ふくろ小路一番地』17 「時」とはなにか? 時間旅行SFの金字塔
――フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』18 二十一世紀の読者のために作り直された、ル= グウィンからの贈り物
――アーシュラ・K・ル= グウィン『ゲド戦記』

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