2024年09月06日
9-3 林業(1)(生業と交易・交通) (作手村誌57)

“昭和レトロが若者に人気ですが、それとは違う内容になりそうです。しかし、昔の“文化を“今”に活かしていくヒントを探ってみたいと思います。
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第四編 文化 - 第三章 民俗
第三節 生業と交易・交通
(つづき)
*林業
起伏の多い作手村は、耕地が少なく山林が多い。しかも年間降水量が比較的多いので、山林資源がよく育つ。したがって山地の利用が進んでおり、その主なものは、杉・檜の植林による建築用材の生産、雑木を利用しての薪炭生産、椎茸栽培、その他である。
〔杉・檜の一生〕〔育苗〕
生育がよく樹形もよい親木を選んでおき、秋その実玉を採って日陰干しにして種子を出し、精選し、翌春苗床に播いて育てる。またさし木苗を育てる方法もあり、自然苗を利用することもある。そして毎年一回は移植、施肥し3~4年で山行き苗となる。
〔植林〕
再植の山は枝葉を整理し、雑木山は伐り払い、刈り払って地拵えする。以前は炭焼きの跡地や採草地によく植林した。3、4月ごろが適期であり、反(10アール)当たりの苗数は300本が標準である。最近は山に施肥する人が多くなった。
〔下刈り〕
植え付けの翌年から約10年間は毎年少なくも1回は下刈りをする。雑木や雑草は杉・檜よりも生育が早いからである。道具は主に長柄の下刈り鎌を使ったが、最近は動力の下刈り機が多くなった。太い不要な木があれば鉈・のこぎりも必要である。
〔補植〕
不良苗、植え方不適当、兎・野ねずみの害などで枯死した苗はもちろん、枯死寸前、発育不良などを見つけて植え替える。
〔除間伐〕
植付け後数年の間に、間隔不適当、クセ木、病木などを除伐し、それから約10年めごとに間伐して林相を整え、50~100年後の伐期には植付け本数の半分くらいにする。
〔枝打ち〕
戦前は特別な愛林家以外は枝打ちすることもなく自然脱落にまかせていたが、近ごろは無節の優良材を育てる為に枝打ちをする林業家が多くなり、枝打ちコンクールも開かれる。
30年生ごろまでに完了して、その後は手をつけないのが普通である。
〔伐期〕
よく肥えた山の谷間では、杉なら30年で伐ってもよいほどに成長するが、平均杉で50~60年、檜で70~80年が適期であろう。
〔売買〕
戦前は伐期になると一山単位で売買することが多かった。数人の業者(元締)を呼んで、入札によって売るのが普通であったが、戦後は売り手も利口になって、一本一本マワシ(日通りの円周)を取って、より正確な見積もりを立てて売るとか、出来石(出石)で売るとか、直接木材市場へ出荷するなどが多くなった。
(つづく)
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注)これまでの記事は〈タグ「作手村誌57」〉で
注2)本文内で、縦書き漢数字で書かれている数値を横書きに改めて表記した箇所、年号に西暦を追記したところがあります。
Posted by ガク爺 at 17:00│Comments(0)
│作手
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