2017年12月22日
『君の膵臓をたべたい』(住野よる・著)

今日は,二十四節気の一つ『冬至』です。一年で昼が一番短く,夜が一番長い日です。「一陽来復」,日の長さは徐々に伸びていきます。
冬至の夜は,食卓にカボチャで風邪などの予防・改善を,風呂は柚子湯で無病息災を。
みなさんの「冬至」は,どんな一日でしたか。
映画が公開され再び話題になっている(?)『君の膵臓をたべたい』(双葉社・刊)
「本屋大賞」で賞をとったり,いろいろな「年間ベストセラー」「ランキング」で上位に挙げられていましたが,そのときは手にしませんでした。
先日,書架にある本書を見て「読みたい」と感じ,読み始めました。
書き出しは,クラスメイトの山内桜良(さくら)の葬儀が行われたからです。
“死”を扱った作品は,あまり気が進みません。以前,手に取らなかったのも,それが理由だったような気がします。
登場人物の少ない作品です。
主人公の「僕」が,偶然病院で拾った本(ノート?)から桜良との関わりが始まっていきますが,桜良との会話では“【 】付き”で,いろいろな表現がされ,「僕」の名が分からないまま進んでいきます。
その本(ノート)は,桜良が「秘密」を綴っていたもので,膵臓の病気で,彼女の余命が長くないことが記されていました。タイトルは「共病文庫」。
二人の“不思議な付き合い”が,さまざまな時と場で描かれていきます。
正反対の性格の二人ですが,それぞれに“憧れ”を抱き,心が通い始め…。でも…。
心が通い「友」となったのに,最期が近づくなかで,「えっ。そんな…」という終わに向かいます。
話題作であったことに納得する作品でした。
読書メモから
○知っていたはずで,理解していたはずだ。彼女という存在の前提ですらあったはずなのに,それを見てしまった僕は,息を呑んだ。
○「これが『真実か挑戦』ゲームだよ。もし君が答えたくなかったら『挑戦』を選ぶの。君が挑戦を選んだら,私が君に何かの指示をするからそれに挑戦する。真実か挑戦か,どちらかを絶対に選ばなきゃいけない」
○次の日も,僕は彼女と会話しなかった。僕とクラスメイトの間であったことと言えば,また親友さんに睨まれたことと,例の彼にガムをすすめられたことくらい。あとは,個人的な問題なのだけど,百円ショップで買った筆箱がなくなった。
○「きっと誰かと心を通わせること。そのものを指して,生きるって呼ぶんだよ」
○何度も,そうすることを選んだ。
違う選択もできたはずなのに,僕は紛れもない僕自身の意思で選び,ここにいるんだ。以前とは違う僕として,ここにいる。
○涙の意味が,僕には分からなかった。
○私はもうとっくに君の魅力に気がついているからね。
○生涯一度も言ったことのない言葉を使ったために,喉と心がひきつる。僕は必死で呼吸を整えるよう努める。自分のことに必死で恭子さんの心境を推し量るなんて余裕はなかった。
○僕は一年前,選んだんだ。君みたいな人間になることを。
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◇ 住野よる @978410350831_1(Twitter)