2019年02月22日
『こころきらきら枕草子』(木村耕一・著)

「北海道で震度6弱…」
昨年の地震,被害状況が思い出され心配しましたが,前回ほどの状況にはなっていないようです。
でも,寒い,暗い中で,停電や断水が起こったら…。
地震はいつ起こるか分かりません。備えの点検と「もしも」への対応を。
学生の頃,覚えませんでしたか。
春は曙。やうやう白くなりゆく山際,すこしあかりて,紫だちたる雲の細くたなびきたる。『枕草子』の冒頭(第一段)です。
夏は夜。月の頃はさらなり,闇もなほ,螢飛びちがひたる。雨など降るも,をかし。
秋は夕暮れ。夕日のさして(略)…言ふべきにあらず。
冬はつとめて。雪の降りたるは(略)…白き灰がちになりて,わろし。
平安時代中期に中宮 定子に仕えた女房 清少納言により執筆されたと伝わる随筆です。
“世界初の随筆文学”であり,兼好法師の『徒然草』,鴨長明の『方丈記』と並び,日本三大随筆の一つになっています。
枕草子を素材・題材とした書物はいろいろありますが,先日,「面白かった。これを読んでから,他の“枕草子”の本を読みたくなる。」と薦められた『こころきらきら枕草子 ~笑って恋して清少納言』(1万年堂出版・刊)
表紙を開くと,日の出の写真を背景にして,
春は,あけぼの。とあり,夏,秋が続きます。
日の出前が好き。
真っ暗な空が,だんだん白んできて,
黒い山と夜空の境が,
ちょっと明るくなり始めると,
心がときめくのです。
その後は,第68段と第136段,第72段と第119段が,それぞれ見開きで写真を背景にあり,写真を背景とした最後は第128段でした。
そこに,冬は登場しませんでした。
約300の章段から32段が,著者の“訳”によって描かれています。現代に平安時代が舞い降り,話のなかにすっと入っていけます。
それぞれの話(段)を楽しめます。
本書を薦めた方の言うように,他の本を読んでみたくなります。
そして,改めて“昔の人の凄さ”,“教養の高さ”を感じました。
第280段を,
雪が降って,庭に高く積もった朝のことです。と述べています。
(略)
すると,定子さまが,突然,
「清少納言よ,香炉峰の雪は,どうであろう」
と,おっしゃったのです。
はて,私に,何を求めておられるのでしょうか。
清少納言は,白楽天の詩を思い出しますが…。
「(略)…思いつきませんでした。皇后定子さまは,一流の知性と教養を身につけておられます。そんな定子さまにお仕えする私たちは,もっともっと感覚を磨いていかなければなりませんね」“漢詩や和歌をひいて話ができる”という暮らしは,素敵です。愉しい暮らしだと思います。
そうした平安時代の知性と教養も楽しめます。
「枕草子」を覚えている人も忘れてしまった人も,本書の描く「枕草子」の世界へいかがですか。
もくじ
『枕草子』を読む前に 清少納言の人生を,大きく変えた出会いとは
◇意訳で楽しむ枕草子
1 心きらめく日本の四季。本当の美しさに,気づいていますか?
(第1段 春は曙)
4 嫌いなことが多いですよね。こんなこと感じるのは,私だけかな
(第25段 にくき物)
7 人間なんて,心変わりすると,全く別人になるんですよ
(第68段 たとしえなきもの)
13 冬は,冬らしく。夏は,夏らしく。
(第113段 冬はいみじゅう寒き)
16 雨上がりの朝は,菊の花にも,クモの巣にも,新鮮な感動があります
(第124段 九月ばかり,夜ひと夜)
23 男と女の間には,遠い距離がありそうで,実は,近い
(第160段 とおくてちかき物)
27 月の明るい夜に,川を渡ると,キラキラ輝く水晶が見えるんです
(第215段 月のいとあかきに)
30 「あの人が,あなたのことを心配していましたよ」と聞くと,うれしいものです
(第250段 よろずのことよりも,なさけあるこそ)
32 「あなたは,いつも,大騒ぎして褒めてくれるね。ホメオスタシス殿などのおわしまさでのち)
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