2019年02月04日
立春。「いろいろなおふろ」《生活の移り変わり 22》

二十四節気の最初です。
昨夜からの強い風が続き,台風のような暴風を感じることもありました。気温は高く,当地も二桁になりました。
春を感じる「立春」の一日でした。
夕方,週末に開く会議の打合せを行いました。
新しい組織,運営へと移行していく節目の会議です。これまでの準備や話し合いで“粛々と進んでいる”ことですが,それぞれの思いを大切にして“新しい形”になっていけるとよいと思います。
よろしくお願いします。
文集「こうやまき」(1970年・刊)から,「生活の移り変わり」の一話です。
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『いろいろなおふろ』 (文・巴小3年 女子)
土曜日の夕方,おかあさんに,「昔の作文を書いていくだで教えて」ていったら,おかあさんは
「ちょっと考えにゃあわからんで あとで話してあげるわ。」
といいました。それからおふろにおかあさんといっしょにはいっていたら,きゅうに,おかあさんは,せ中を洗う手を休めて,
「ああ,おふろの話でもいいら。」
といって,昔のいろいろなおふろのことを話してくれました。
わたしの家のおふろは,まだ木のふろおけです。ニ本のえんとつがはいっていて石油をバーナーで送っておふろをわかすので,昔みたいにたきぎがなくても わかせます。マッチ一本で火をつければ三十分ぐらいでおふろは わいてしまいます。わたしは,おふろといえば,自分の家にあるものしか知らなかったので,おかあさんの話をとてもたのしくきくことができました。おかあさんは,四つのかわったおふろを教えてくれました。
その第一は,へそぶろです。わたしは,へそぶろときいた時,どうぶつしかへそがないと思っていたけれど,おふろにもへそがあるんだなとふしぎに思いました。
「どんなおふろだったて。」
ときいてみました。
すると おかあさんは,
「おかまが ふろおけの下の方に,よこについていて半分が火をたく所になっていて,あとの半分が おけの中に とび出ているので ヘそぶろとゆうんだよ。」
と教えてくれました。わたしは,やっとなっとくすることができました。
こんどは,ごえもんぶろを教えてくれました。それによると,ごえもんぶろは,お寺にあるつりがねのようなかまです。そのかまの上に,ふろおけをのせて作った物で じごくぶろとよくにているけれど,おかまが少しちがっていました。
第三番目に じごくぶろはフライパンのような形をしたおかまで,おふろに入る時は,うきぶたを入れて入りました。子どもだけで入る時は,じょうずに入らないと,おかまに足があたって,やけどをしそうになるので,気をつけて入ったそうです。おかあさんもそのおふろには長いあいだ入っていました。
さい後に てっぽうぶろは ヘそぶろとにているけれど,火をたく所がよこについていて,えんとつみたいな所から,たきぎを入れておふろをわかしたと教えてくれました。
今では,あちこちの家で 新しく家をたてなおしているけれど,昔のおふろをそのまま使っている家もたくさんあります。おとしよりの人は,やはり 木のふろの方が体のためにいいとか,体がよく休まるとかいうそうです。でも,わたしは やはり 赤やもものタイルのおふろの方がいいなあと思います。ポリバスのきれいなおふろの方がいいなあと思います。わたしの家のおふろは,木で作ってあります。たくのはせきゆでかんたんですが,早くもっときれいなおふろにしてほしいと思います。
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作文に出てきた「へそ風呂」「五右衛門風呂」「地獄風呂」「鉄砲風呂」,そして木の風呂,タイルの風呂,ご存知ですか。入ったことがありますか。
今では,多くの家庭で「ボタン一つで風呂が沸く・お湯がはれる」のではないでしょうか。
「おかまに足があたって火傷…」など,今では考えられませんが,これによって“鍛えられた”こともあるように思います。
「便利なこと」はありがたいことですが,それによって“失われたこと”を知って,「今を暮らす」ことは大切だと思います。
さて,…。