2021年07月15日
『風は山から吹いている』(額賀澪・著)

湿度が高く,気温以上に暑く感じました。
梅雨明けは,来週かな…。
「いい話の図書館」で29冊目の図書『風は山から吹いている ―― Why climb mountains with me?』(二見書房・刊)です。
本に恋する小林店長は,「本に恋する店主の呟き新聞」に
山登りなんてしたこともないし,興味もないのに読み始めてやめられなかった。この引き込まれ感は何だろう。とメッセージを載せています。
人はもしかして自分の言葉で誰かを傷つけたかもしれないと,ある種の怖れを抱えたりする。山の厳しさと爽やかさが教えてくれるものは…。
表紙は絵画風の“青空にそびえ立つ山の飛び出た岩”に立つ山男あるいは山女が二人描かれています。
そして,表紙をめくると,最近にない紙質の遊び紙(見返し)と扉でした。気になって,表紙カバーを外すと光沢のある表紙が表れました。
この装丁は…。
主人公の名は「筑波岳」,大学1年生です。高校では,スポーツクライミング部に所属し,インターハイ出場経験のある“将来を期待され”ていましたが,大学では続けないことにしていました。
そんな主人公の前に現れるのが,スポーツクライミング部部長の「国方晃」,登山部部長の「梓川穂高」です。そして,ミステリ研究会の「水瀬文彦」も。
それぞれが,岳と深くかかわっていくのですが,水瀬はいつも部室で本を読んでいるだけで,授業にも出席しているのか分かりません。
クラブハウス棟へ向かい,ミステリ研究会の部室のドアをノックする。水瀬の声がした。エピローグで穂高が振り返ります。
「生憎,穂高君は今日はまだ来ていないよ」
水瀬はいつも通り本を読んでいた。この人はちゃんと授業に出ているんdふぁろうかと,お節介ながら岳は思った。
ミステリ研究会とはいえ,水瀬が謎を解決してくれるなんて期待したことがない。だからあくまで相談しただけだ。けれど,「僕はミステリ小説が好きなだけで謎は解けない奴だから」と言いながら貸してくれた小説は,少しだけ役に立った…気がする。その「謎」は…?
なぜ相談した…?
役立ったのは…?
「あれが聖岳。僕と(略)」岳と穂高が山へ登るようす,山頂での会話…,山岳小説としても楽しめます。
赤石岳,荒川中岳,悪沢岳,塩見岳,農鳥岳,間ノ岳,北岳,仙丈ケ岳,南アルプスを聖岳から北に指先でなぞりながら,穂高が山の名前を紡いでいく。
そして,岳と穂高が抱える“苦悩”を感じながら,青年の姿が心にしみます。

もくじ
プロローグ
第一章 筑波山は晴れている
第二章 鍋割山に湯気が立つ
第三章 日の出山に洗われて
第四章 木曽駒ケ岳に偲ぶ
第五章 宝剣岳で君を暴く
エピローグ
【関連】
◇額賀澪 公式サイト
※右の写真は,知人のSNSより借用。
※下の写真は,「キレット渡り」の昔の写真。

【「いい話の図書館」】
◇最近紹介した本
◇『人生に、エールを。』(志賀内泰弘・編・著)(2021/06/14)
◇『ジュリーの世界』(増山実・著)(2020/05/22)
◇『母からゆずられた前かけ』(宮川ひろ・著)(2021/04/20)
◇『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀昭・監)(2020/03/02)
◇『おもかげ』(浅田次郎・著)(2021/02/08)
*以前に紹介した本は
☆カテゴリー「いい話の図書館」から
「いい話の図書館」とは… 本との出逢いは,人生を変えます。辛い時,悲しい時,苦しい時,一冊の本が「生きる希望」を授けてくれます。
そこで,ステキな本との出会いを提供する「いい話の図書館」を全国津々浦々に作ったら,どんなに素晴らしいだろうと考えて館主を募集しております。「いい話の図書館」の館主のお仕事は,本棚にステキな本を並べて多くの人に自由に読んでいただくこと。そのステキな本は,テレビをはじめ,マスコミでも話題の小林書店のカリスマ店主,小林由美子さんが心を込めて推薦する本です。
◇いい話の図書館【申込】
◇小林書店さん (@cobasho.ai)(Instagram写真と動画)
◇志賀内 泰弘(Facebook)