2017年03月05日

啓蟄。昭和の『先生のいろは』 7

芽0305。 ふきのとうの花が咲き,柳の若芽が芽吹き,紋白蝶の姿が見られる頃になりました。
 今日は二十四節気の一つ「啓蟄」です。「」には「ひらく,開放する,(夜が)明ける」,「」には「冬ごもりのために虫が土の下に隠れる,とじこもる」との意味があります。
 春の暖かさを感じて,冬ごもりしていた虫が外に這い出てくる頃です。

 いろいろな動きが始まる「」です。



 冊子『先生のいろは』の7回目です。年度末に向けて集中して紹介しています。
 1977(昭和52)年頃と現在とは,社会のようすは大きく変わっていますが,「今も変わらず…」という内容もあります。年度末の今,改めて“今の先生方”にお伝えします。何か参考になることがあれば幸いです。
 「7 教室」は項目数が多く,2回に分けて紹介します。今回は前半です。
7 教室
(1) 校庭,廊下,教室に関係なく,放送が始まると動きをとめ,話しをとめてよく聞き,放送が終わると,もとに復する学校がある。その目的はよくわかる。

(2) 教室,職員室への出入りの時は,軽く会釈するように指導している学校がある。単に旧式めいていると捨てきれない味がある。気持ちが尊い。

(3) 掃除道具の置き場に,バケツ2,はたき2,ほうき6……等と道具の数量が記されている所がある。「先生,掃除がすみましたから見に来てください。掃除道具は全部あります。」と報告するクラスがある。責任とはこういうもの。

(4) 高低を自由にできる机,腰掛が断然多くなった。そのどこかに必ず氏名のカードを入れる場所がある。1年生になったときに与えられた机腰掛に名札を入れ卒業時まで立派に保全する(自分のを大切にするように,他人のも大切にする指導が大切)ようにしたいものである。これもまた責任というもの。
 卒業前日位に「机腰掛に感謝しよう会」をやりたいものです。

(5) 掲示物は 新しいものに常にとりかえ,目につくようにしなくてはならない。読み物類は掲示されてからほんの数日しか見ないもの。色あせたり破損したりすrまで掲示されているのでは,話しにならない。
 数多くだすより数は少なくて結構だから次々と新しくしたいものです。

(6) 常掲地図は言うまでもなく,とにかく地図とか統計等は一日一日変化あるもの,古いままの地名であったり数字であったりしては,間違いを教えることになります。同じような事は,社会科事典,図鑑などについても言える。漢字やかなづかいについても注意しよう。間違っている物は修理,処理しよう。

(7) 背面塗板や掲示物のなかで子供が書いたものがある。内容はいうまでもなく誤字脱字などないよう,教師の注意がいりますよ。子供の書いたものには,あまりにも色を使いすぎること,片かなをでたらめに使う傾向がありますね。 つまり,書いた人が誰であろうと,その内容その他に誤りがあってはならないということである。

(8) 室内に一つ以上花瓶がある場合が多い。教卓の植えに大きな花瓶が置かれるのはよくない。教便物を置きにくいこともあるが,板書が見えなかったりするし,授業の中心となる教師の近くに気を散らす心配のある物は,何一つない方がよいと思われる。先生の事務机,柱かけ,その他各所におかれるのは誠に結構である。便所の花もいいですね。
 前にも話したと思うが,枯れた花をさしておくのはあまりにも味がない。

(9) 正面,裏面の黒板に,先生が不用意に書いてほしくないことがある。
 例えば,学級費を出さなかった者の名前,花を持ってきた者の名前など。持って来たくても持ってこれなかった者もあるはずである。

(10) 図画,習字,作文など,すぐれた者だけ掲示するのでなく,いつもよりよくできた者に,ほめたことばを記して出してやりたい。いつまでも長く出しておく必要はないんだから。努力をかってやりたく思うんです。

(11) 「よくできました」「じょうずに書けました」というような抽象的なことばでなく,「○○が○○のように出来て立派です」とほめてやりたい。単に書いた人のためでなく,他の人の指導になるように。
 図画などは,書いた人の反応を書かせた後ろへ,先生のことばが入っているのがある。いいことですね。

(12) 忘れ物しらべ,遅刻した者,清潔しらべ(つめ,ハンカチ,歯みがき……),読書しらべなど,日常の習慣づくりなどのために調査を通して指導しようという物がある。大変結構なことであるが,○△×をつけて一覧になっているものが多い。先生が一々しらべて記入するならまだいいとしても,係の友達が,友達の欠点をさがして,△や×をつけることは誠に罪なことである。○を取る競争にしてやりたい。×を沢山つける事の教育的意義を私は認めたくないんです。友達の△や×を喜ぶ子供をつくりたくないんです。

(13) 前のページ(前項6(4)?)に記したことであるが,ちり箱のちりを一見したい。テストや子供の作品など捨てられていませんか。捨てた子供の事を思うとさみしいですね
 紙をすてる時,びりびりに破ったり,くしゃくしゃにまるめたり,何故ぶするんでしょう。人には何か「ざんぎゃく性」があるんですね。のばしたままですと,捨てずにまとめて売ったり,捨て場所も狭くてすむだろうに。

 教室は,学校生活で,子供達が一番長く過ごす場所です。そこが“過ごしやすい”ものであるように“意図”をもって整えられることが肝心です。
 「目的はよくわかる」「旧式めいている」などの言葉がありますが,教室へ入ったときに,形式や見た目ではなく,その意図も読み解いていただくと,これまでと違って見えるでしょう。

 「掲示物」について触れていましたが,いつも気にするのは「期日が記されているか」ということです。それがない掲示から「見なくてもよいもの」という無言のメッセージを感じることが少なくありません。

 みなさんの教室は,いかがですか。


 次回は,「7 教室」の続き「教室 その2」です。



【昭和の『先生のいろは』】
 ○昭和の『先生のいろは』 「校門を入って」(2017/02/16)
 ○昭和の『先生のいろは』 2 「玄関や子供の昇降口に立って」(2017/02/18)
 ○昭和の『先生のいろは』 3 「校長室や職員室を眺めて」(2017/02/21)
 ○昭和の『先生のいろは』 4 「廊下や土間廊下を歩いて」(2017/02/23)
 ○昭和の『先生のいろは』 5 「便所」
 ○昭和の『先生のいろは』 6 「各種の室(教室を除く)」
 ○『先生のいろは』 その7 「教室」
 ○『先生のいろは』 その8 「授業」
 ○『先生のいろは』 その8-2 「授業 2 書くこと」
 ○『先生のいろは』 その8-3 「授業 3 仕事をする」
 ○『先生のいろは』 その8-4 「授業 4 学習形態」
 ○『先生のいろは』 その8-5 「授業 5 先生よ くり返して述べよう」
 ○『先生のいろは』 その9 「??」
 ○『先生のいろは』 その10 「あたたかい先生に」
 ○『先生のいろは』 おわりに



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Posted by ガク爺 at 19:30│Comments(0)教育先人に学ぶ
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