2019年08月23日
処暑。「水神淵の主」(つくで百話)
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立秋から半月が過ぎ,“暑さが和らぐ”という意味であり,萩の花が咲き,穀物が実り始める頃です。
今日は雷鳴が轟いたり,急な豪雨になる不順な天候でしたが,残暑の厳しさはこれからです。
さらに,処暑や二百十日,二百二十日は「台風襲来の特異日」(統計的には違うらしい)とも言われます。台風11号の影響は直接にはなさそうですが,注意が必要です。
生活環境が変わったとはいえ,二十四節気などから季節・気候の動きのなかで暮らす知恵を知ることは,“豊かな暮らし”につながると思っています。
今日,萩など秋の七草,穀物の実りに出会いましたか。
午前中,作手小学校を訪ねて校長先生と情報交換をしました。
最近の話題,地域の話題,学校統合後の経緯,そして課題と展望…。
今日も“未来(あす)の教育”について考える時間になりました。ありがとうございました。
『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「川に因んだ話」から紹介です。
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水神淵の主
川手村の郷中にかかっている高橋の百メートルくらい下流に水神淵という深い淵があります。昔,川手村のある娘さんが,巴川の川端で,いつもの口癖の
「及ぴなけれど川中島のわかち様(註 わかちはわかちごのこと)ならもう一度」と繰りかえし口吟さみながら洗濯をしておりました。すると,その夜,娘さんの部屋に,立派なお小姓姿の青年が訪れました。娘さんとこの青年とは,忽ち割りなき仲と結ばれました。それから毎晩のように,この青年は,ひそかに娘さんの部屋を訪れましたが,どこの誰とも名乗りません。娘さんは,ある夜,この青年の袴に糸をつけた針をさしておきました。
翌くる朝,この糸を辿ってゆきますと,水神淵に入っておりました。竜神は,極度に針を嫌ふそうですから,袴に針を剌されたことを怒ったのか,それ以来,ぷっつり娘さんのとこへ若衆様が来なくなりました。
日が経につれて,娘さんは,懐妊していることがわかりました。そして月満ちて分娩したのは蛙の卵のようなものばかりで,大たらいに一杯もありました。村人たちは,娘さんを訪れたお小姓青年は,水神淵の竜神の化神であったかと噂し合っておりました。
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