2024年09月07日
白露。 『カミサマはそういない』(深緑野分・著)
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秋の気配が追いやられ、暑い暑い一日でした。
今日は、二十四節気の一つ「白露」です。
大気が冷えてきて、露ができ始めるころです。草花に付く露が白く見えるという意味で、秋が深まる頃とされています。
季節の変化を味わい、秋の深まりを楽しみたいのですが、もう少し先かな…。
以前に紹介があり、気になってタイトルをメモしていた『カミサマはそういない』(集英社・刊)です。
変な予感がするんだ。
扉の向こうで、何か恐ろしいものが、僕を待っている気がして――。
目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持ったピエロが現れ……(「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」)
僕らはこの見張り塔から敵を撃つ。戦争が終わるまで。しかし、人員は減らされ、任務は過酷なものになっていく。そしてある日、味方の民間人への狙撃命令が下され……(「見張り塔」)
など全7編を収録。
現代日本、近未来、異世界――様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。
この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。
見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな短編集。
骸骨が人に覆いかぶさる表紙の絵が不気味で、“人間の本性をあぶり出す”という紹介も、身震いする感じです。
題名が、「神様」ではなく“カミサマ”、「いない」ではなく“そういない”と、どんなカミサマで、いるのかいないのか、それぞれの話で想像が広がります。
7編の物語は、テレビ番組「世にも奇妙な○○」で観られそうな“人の心の闇”が描かれています。
「伊藤が消えた」「見張り塔」「ストーカーVS盗撮魔」……
読みながら、結末を予想したけど、「えっ」「そうなの」と…。
そして、“カミサマ”はいたの…。
カミサマに会いに、本書を開いてみませんか。
目次
伊藤が消えた
潮風吹いて、ゴンドラ揺れる
朔日晦日
見張り塔
ストーカーVS盗撮魔
饑奇譚
新しい音楽、海賊ラジオ
解説 石井千湖
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◇深緑野分(※本人に代わり『告知の人』が運用中) (@fukamidori6)( X )
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